最終年度は、本調査を実施した。研究計画ではインタビュー調査で本調査を実施予定としていたが、対象者との調査時期調整が困難になったため、質問紙調査(郵送法)に切り替えて本調査を実施した。 本調査は、大震災(新潟中越地震、東日本大震災、鳥取県中部地震、熊本地震を中心に)があった地域の精神科病院149施設の看護管理職者を対象に、自由記述式質問紙調査を実施した。調査内容は、被災後に追加・変更した災害対策の項目内容、近年の災害事情をふまえて自施設で現在検討課題としている災害対策の項目内容について調査した。分析は、調査結果から類似した内容を抽出し、カテゴリー化した。結果は、有効回答率は40%(60施設)であった。被災後に追加・変更した災害対策は、【災害(地震・津波・原発・水害・断水・停電・火災)対策マニュアル】【災害初動対策】【災害対策本部設置】【避難経路・誘導方法】【通信・情報伝達・職員召集の手段】【備蓄品・災害用品の管理】【BCP(事業継続計画)作成】【災害(地震・水害・近隣病院合同)想定訓練】の8カテゴリーが抽出された。また、現在検討課題の災害対策は、【災害対策マニュアルの見直し】【BCP作成】【災害トリアージの基準検討】【各災害に応じた避難誘導方法】【職員・他施設・地域との災害時連絡手段】【備蓄品・災害用品の備え】【各災害に応じた訓練計画・職員教育】の7カテゴリーが抽出された。 精神科病院は、精神疾患で災害時の危険判断能力が低下している患者がいるほか、入院手続き(入院形態)や閉鎖病棟、隔離室を有するなど他診療科と比べて特殊的な部分が多い。このため、災害マニュアルやBCP、精神症状への災害トリアージ基準の検討など精神科病院が抱える災害対策の課題について精神科の特殊性をふまえた有用な方策を継続して検討していく必要性がある。 なお、本成果は第21回日本災害看護学会に発表エントリー中である。
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