研究課題/領域番号 |
15K20682
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
青木 紀子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50514428)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 床上排泄 / 表面筋電図 / 姿勢 / 腹筋 / いきみ |
研究実績の概要 |
床上排泄に適した姿勢に関するエビデンスを構築することを目的に、本年度は以下のことを実施した。 1.腹圧のかかり方の非侵襲的評価指標の開発 腹圧のかかり方の非侵襲的評価指標を選定するために、腹圧の発生機序に焦点をあて、排泄時のいきみの機序を明確にすることを目的として、いきみの文献検討を行った。文献検討の結果、いきみとは横隔膜と腹壁の筋の収縮により腹腔内圧を高めることであった。そこから、腹圧のかかり方の非侵襲的評価方法としては、腹壁の筋である、側腹筋(外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋)と腹直筋の筋活動を測定することが妥当ではないかと考えた。筋活動の測定としては非侵襲的な方法として表面筋電図が適切ではないかと導きだした。 2.ベッド上で差し込み便器を挿入した時の姿勢に関する実験プロトコールの作成 実験プロトコールを作成するために、腹圧がかかりやすい姿勢や安楽な姿勢についての文献検討を行った。その結果、臥位よりも座位の方が腹圧はかけやすいと言われていた。下肢の位置について、足底にかかる圧が高い時に直腸内圧も高くなっていることが分かった。更に、側腹筋と腹直筋の表面筋電図測定部位について適切に測定できる箇所について文献検討を行い、表面筋電図測定部位について選定した。実験プロトコール作成に関して、1)表面筋電図測定部位を決定した2)実験時に測定する姿勢については、股関節と膝関節を屈曲し足底をベッドにつける体位を取り入れることが必要であると判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定は、腹圧のかかり方の非侵襲的評価指標を明確にし、信頼性のあるデータ収集に向けて、その評価指標について被験者を替えて再現性を確認するところまで進めているはずであった。しかし、現在腹圧のかかり方の非侵襲的評価指標を文献検討から明確にしたところまでであり、実際に評価指標を用いての測定を行えておらず、被験者を替えて再現性の測定も行えていない。更に、ベッド上で差し込み便器を使用した場合の安楽な姿勢について明確にするための実験プロトコールの作成についても、プロトコール作成まで実施しているはずであったが、実験プロトコール作成は途中段階である。腹圧のかかり方の評価指標、測定部位についてはおおよそ明確にしているが、それ以外の実験に関わるプロトコールを作成できていない。以上のことからやや遅れていると区分した。
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今後の研究の推進方策 |
全体的にやや遅れて研究が進んでいるため、今後の研究計画を修正する必要がある。当初、ベッド上で便器を使用した姿勢において安楽な姿勢を明確にしてから、腹圧のかかり方の非侵襲的評価指標を用いて、腹圧が強くかかる姿勢を明確にする予定としていた。しかし、安楽な姿勢と腹圧が強くかかる姿勢を明確にするための実験を同時に行っていく方が効率的に研究を進められると考え計画を変更していく。データの精度としても評価項目が増えるだけであり、データの精度が低下する可能性は低いと考える。そして、安楽かつ腹圧が強くかかる床上排泄時の姿勢について収集したデータを検討した結果を、来年度の学会等で発表できるように計画していく。 新たな課題として、排泄に必要な腹圧を生み出すいきみについて何がどのように研究されているのかまだ明確にされていないため、いきみの文献検討も同時に進めていく必要があり計画の中に入れていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
全体的に当初予定していた研究計画より遅れているため、実験に関わる経費が未使用となっている。実験プロトコールの作成途中であるため、体圧計や唾液アミラーゼモニターなどの測定機器や電極、アルコール綿等の消耗品などの購入が行えていない。研究者が授業等あるため実験をスムーズに行うために実験補助者を雇うはずであったが、実験がまだ行えていないため実験補助者の人件費が発生していない。被験者謝礼に関しても実験が進んでいないため同様に発生していない。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度、ベッド上で便器を使用した時の安楽かつ腹圧がつよくかかる姿勢に関する実験を進めていく予定である。今年度の使用計画としては、昨年度購入していなかった実験で使用する測定機器の購入を行う。実験で使用する電極、アルコール綿などの消耗品の購入も行う。実験を行うに当たり、実験補助者を雇うための人件費と実験の被験者謝礼が発生する。昨年度データ収集できなかったため、昨年度分と合わせて今年度データを収集する予定であり、昨年度の経費と今年度の経費を合わせて使用していく。 新たな課題とした、排泄にかかわるいきみの文献検討を実施するため、文献代と文献を整理するための経費も本年度の使用計画に組み込んでいく。
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