一般企業を対象とした国内外の先行研究からは、ワーク・ライフ・バランス施策に関する様々な取り組みによって、組織の構成員や組織そのものに有効なアウトカムがもたらされることが明らかになっている。 一方で、看護組織においては出産・育児支援施策が中心であり、出産・育児期以外の看護師のワーク・ライフ・バランスに着目した先行研究はほとんど見当たらなかった。 過去に収集したデータをもとに再分析したところ、出産・育児期以外の看護師は、出産・育児期の看護師よりも、残業時間や夜勤回数が多く、ワーク・ライフ・バランス実現度が低いことが明らかになった。出産・育児期以外の看護師は、看護組織のワーク・ライフ・バランス支援施策の恩恵を受けておらず、出産・育児支援のしわ寄せとして労働条件が過酷になっていることが示唆された。
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