研究課題/領域番号 |
15K20687
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研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
西村 淳子 岐阜聖徳学園大学, 看護学部, 助教 (70617662)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 看護師 / 小1の壁 / 就業継続 |
研究実績の概要 |
近年、子どもの小学校就学時に直面する「小1の壁」問題が社会的に指摘され、対策が急がれている。本研究の目的は、心身ともに配慮が必要な学童期の子どもを養育する女性看護師の就業継続問題に焦点をあて、「小1の壁」問題における就業形態や保育施設のキャパシティの実態を量的・質的な調査により多面的に明らかにし、小学校就学後に就業継続を断念せざるを得ない看護師や、勤務状況の変更を余儀なくされる状況への対策を講じることである。平成26年度は、まず、先行文献等から育児と就業継続に関する問題やサポート体制の検討を行った。そして、これらの検討した内容を反映したインタビューガイドを作成し、半構造化面接を行った。これらから、学童期の子どもを養育しながら就業継続を行うためには、時間的サポート・精神的サポート等が必要であることが明らかとなった。今後は、質的データの分析を進めるとともに、さらに幅広い分野に関する文献検討を深める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、育児支援に関する有識者への情報収集や文献検討を行い、就業看護師と潜在看護師への半構造化面接により、学童期の子どもを養育するうえで必要とされる育児支援や、就業継続を困難にさせる要因を具体的に明らかにすることを計画していた。半構造化面接では、①夜勤免除等の勤務体制を調整している看護師5名、②勤務調整を行っていない看護師5名、③潜在看護師4名を対象に、勤務状況、子どもの小学校就学時の経験、養育状況、今後の育児支援策への意見等をインタビューした。これにより、小学校就学時における具体的な問題や、就学後の学童のあり方を含めた保育園児ではない、学童期特有の保育困難の課題を明らかにすることが出来た。計画していた対象者へのインタビューが終了したことにより、達成度はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、さらに文献検討や情報収集を行うとともに、昨年度に得られた結果を基にして、自記式質問紙を作成する。自記式質問紙の内容は、子どもが小学校へ就学したことにより、夜勤回数、残業時間、部署異動、週末勤務等の調整が必要であったか等を問う項目にする。また、幼児期の子どもを持つ看護師も対象とすることから、子どもが就学した後に危惧される内容を選択的に回答できる内容にする。さらに、自由記載を設け、具体的な状況を把握できる質問紙の完成を目指す。なお、作成した自記式質問紙は、小学校就学前と就学後の子どもを養育するそれぞれの看護師へ予備調査を行い、設問内容の理解のしやすさ・回答の容易さ等の修正を行う。 量的調査の対象は、全国の大学病院で就業している5~9歳の子どもを養育する女性看護師とし、記述統計、クロス集計などの基本的な統計分析でデータの構造を明らかにするとともに、ロジスティック回帰分析により評価する予定である。また、自由記載データの分析は、KJ法により整理・分析し、アンケート結果との関係性を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、まず、研究図書の購入が予定より若干少なかったことがあげられる。また、初年度ということもあり、研究成果が学会発表の水準にまで達っしておらず、学会などへの出張が少ないことにより予定していた旅費が発生しなかったこともあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
これらの金額と次年度以降に請求する研究費を合わせた使用計画としては、研究図書の購入、学会への参加、質的帰納的分析に関する専門家へのスーパーバイズを受けるための旅費などを計画している。
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