平成29年度に経管栄養関連器材の細菌学的調査及びそれらを取り扱う看護師の行動調査を実施。愛知県下の200床未満の一般または療養病棟を有する病院を抽出し同意を得られた6施設を対象に行った。平成30年度は細菌学的調査の結果分析終了後、イリゲーターや接続ラインを消毒し繰り返し使用を行っている4施設を対象に看護師の行動について経管栄養法に関する看護師の行動についてビデオ撮影し分析を行った。撮影場面は経管栄養の調整を中心とした接続前の準備場面、片付け場面の2場面。経管栄養の準備場面14場面と投与終了後の器材の片づけの場面14場面が撮影された。経管栄養の準備場面においては実施前の流水による手洗いや速乾性手指消毒薬による手指衛生の実施の有無、ディスポーザブル手袋の使用の有無にばらつきがあり、手指衛生を実施していても手洗い時間や方法が不十分な場合もあった。また、RTH製剤に白湯を足す際に、片手で操作し、指がバッグ内に触れる様子もあった。投与終了後の器材の片づけの場面においては、次亜塩素酸ナトリウム浸漬液につける前の洗浄について、イリゲーターを洗浄剤での洗浄する際に洗浄時間が短いことや、接続ラインが水洗いのみの場面があったことから、消毒液浸漬前に十分な洗浄がされていない可能性が考えられた。 細菌学的調査の結果から、消毒を行わない洗浄のみの使用前のラインからの菌の検出頻度が高いことや準備・片付けを行う水まわりの環境やスポンジ等の物品は場所によっては菌が多く存在することが明らかになっていることから、関連器材を取り扱う看護師の手指衛生行動の見直しやディスポーザブル手袋の着用、洗浄・消毒の確実な実施が必須と考えられた。また、本研究は看護師が実際に行った行動と関連器材、環境における細菌の有無について、その実態を明らかにしていくための基礎的データの一つとして非常に意味のある研究であったと考えられる。
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