研究課題
本研究の目的は、大学病院に勤務するジェネラリスト看護師の臨床実践能力を、内省的な自己と他者の両側面から同時に評価するための方法論を確立することである。そのために、①臨床実践のラダーとその構成要素を明らかにし、②臨床実践を行う際の看護師の思考過程を言語化し、それおを基に、③汎用性があり、かつ費用対効果の高い、客観的臨床能力試験を完成させることを目指した。4年の研究期間の最終年度である当該年度は、主に前述③に関して④臨床的視点から「臨床判断能力テスト」と「シミュレーションシナリオ」を作成し、項目応答理論(Item Response Theory; IRT)に基づくComputer-Adapted Test(CAT)を完成させ、⑤①~④に関して学会・論文発表を通して広く社会に還元するよう計画した。平成28・平成29年度の大学病院に勤務する看護師を対象に行った質問紙調査の結果を基に、平成30年度は「ジェネラリスト看護師の臨床能力判定システム」の基となる理論をIRTを用いて構築し、CAPとして実装させた。CAPの判定精度に関しては、判定する能力(看護分野)によりばらつきがあるものの、高い能力を有すると判定される対象(いわゆるベテラン且つ管理者レベルに分類されるラダーであり、正答率の高い対象者)では21問、低ラダーに判定される対象(いわゆる新人レベルに分類されるラダーであり、正答率の低い対象者)では56問の設問に回答すると判定結果を得られる。対象看護師の所要時間は30分~45分程度であり、看護管理者がラダー判定するための補助ツールとして、また、対象看護師自身が自分の得手・不得手の能力を内省するためのツールとしても、臨床現場で実装可能なCATが開発できた。研究により得られた結果は国内外の学会・論文等を通して広く公表した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)
看護管理
巻: 29 ページ: 150-153
doi.org/10.11477/mf.1686201203
Journal of Patient Safety & Quality Improvement
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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日本クリティカルケア看護学会誌
巻: 14 ページ: 33-38
doi.org/10.11153/jaccn.14.0_33