研究実績の概要 |
【平成28年度の実施内容】市町村別の自宅死亡率のデータが厚生労働省から公開されたため、二次医療圏単位の分析から市町村単位での分析に計画を変更した。すなわち、市区町村別自宅死亡割合と医療社会的指標の関連を明らかすることを目的に、既存資料を用いた地域相関研究を行った。既存資料と調査項目は、厚生労働省「在宅医療にかかる地域別データ集」から、自宅死の割合(2014年1~12月)、人口、在宅医療・福祉サービスなどに関する市町村別のデータ、朝日新聞出版会「自宅で看取るいいお医者さん」から、機能強化型(単独、連携)または在宅療養実績加算算定の在宅療養支援診療所別の自宅死亡数、日本医師会「地域医療情報システム(JMAP)」、総務省「国勢調査」、内閣府「市町村別人口・経済関連データ」、株式会社ウェルネス「2次医療圏データベースシステム」から市町村または二次医療圏の地域情報や医療情報を得た。統計解析は人口で重み付けし、相関分析と重回帰分析を行った。結果として、2014年の市区町村別の自宅死亡率は、平均±標準偏差11.3±5.2%で範囲は[0%, 54.8%]であった。重回帰分析の結果、市町村別自宅死亡率は、高齢化率、療養病床数、看護師数、医療費、小規模多機能型居宅介護事業所数、訪問介護事業所数、男性の自殺標準化死亡と独立した負の相関、人口密度、機能強化型在宅療養支援診療所数、訪問看護利用者数、訪問介護受給者数、男性の肝疾患標準化死亡比と独立した正の相関を示した。市町村単位での自宅死亡率の地域相関研究は国内初であり、終末期医療に関して、機能強化型在宅療養支援診療所が自宅死亡に貢献していること、訪問看護・介護の充実が自宅死亡に貢献していることという2つの成果と、過疎地域での在宅療養支援、病床数の多い地域での退院支援という2つの課題が地域相関研究から示された。
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