研究課題/領域番号 |
15K20693
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 尚子 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (00711392)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 心不全 / 補助人工心臓 / セルフケア / 自己管理 / 看護 / 循環器看護 / 尺度開発 |
研究実績の概要 |
本研究の第1の目的は,植込み型左心補助人工心臓(Left Ventricular Assist Device, LVAD)を装着する患者のセルフケア行動を評価する尺度を日本と欧州で共同開発し,その信頼性・妥当性を検証することである. これまでに,系統的レビューと医師・看護師・看護系研究者で構成されたLVAD専門家チームによるデルファイ調査によって37項目がセルフケア行動評価尺度の項目として抽出された.本年度は,この37項目の順翻訳(英語から日本語へ翻訳)および逆翻訳(日本語から英語への翻訳)を行った.全ての過程で他国の研究者らと議論を重ね,内容の同等性が確保されるように配慮した.また昨年,米国よりLVADセルフマネジメント尺度が発表された.新たに作成した37項目の尺度と,類似の内容を評価するこの米国の尺度との関連性を評価するため(併存的妥当性の評価)米国の尺度の順翻訳と逆翻訳も実施した. その後,植込み型LVAD患者20名に対してパイロット調査を実施した.項目の過不足に加え,分かりにくい言葉がないか,回答が難しくないかなどを患者に尋ねるとともに,尺度の回答所要間も確認した.本結果を踏まえた後,セルフケア行動評価尺度の妥当性・信頼性検証のための自記式質問紙調査を実施した.現在,データを入力し分析中である. 米国で開発された尺度はLVADと患者を繋ぐドライブラインのケアが中心となっており,植込み型LVAD装着患者のセルフケア行動を包括的に評価する尺度は国内外に未だ見当たらない.開発される尺度は,セルフケア支援が必要な患者のスクリーニングツールとしてのみならずセルフケア教育支援の評価指標としても使用可能であり,その臨床的意義は大きく研究の場でも広く活用されることが期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
系統的レビューおよびデルファイ法を用いた調査に予定より時間を要したため.
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今後の研究の推進方策 |
現在,セルフケア行動評価尺度の項目開発に関するデータをまとめ,論文化を進めている.研究成果の一部は,2017年5月の国際学会で発表予定である.今後は,収集したデータの入力と分析を行う.これにより,開発した尺度の信頼性・妥当性およびセルフケア行動に関連する因子が明らかになる予定である.さらに,セルフケア行動とLVAD合併症・生命予後の関連性を明らかにする予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
データ解析用の新しいソフトの購入は中止し現有の研究資源を用いた.また研究成果をまとめる過程での研究者間のコミュニュケーションはスカイプやメールを用い,当初予定していた学術集会での研究打ち合わせを中止した.これにより本年度の助成金の使用額が減り.次年度に使用することとなった.
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次年度使用額の使用計画 |
臨床転帰に関するデータを収集する[通信費・印刷費]. 尺度の項目開発に関する論文化を進めるとともに信頼性・妥当性検証のための自記式質問紙調査のデータを入力・分析し論文化を行う.データ解析等に必要な書籍を購入する.得られた成果を国内外の学術集会で発表する[書籍費・研究成果発表費・旅費].
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