研究実績の概要 |
本研究の第1の目的は,植込み型左心補助人工心臓(Left Ventricular Assist Device, LVAD)を装着する患者のセルフケア行動を評価する尺度を日本と欧州で共同開発し,その信頼性・妥当性を検証することである. これまでに,系統的レビューとLVAD専門家チームによるデルファイ調査によって33項目が尺度の項目として抽出された.本年度は,項目開発に関する部分をヨーロッパ循環器看護学会学術集会(Euro Heart Care)と日本循環器学会学術集会で発表した.本研究に関する他国からの関心は高く,今後はスウェーデン語・ドイツ語・オランダ語などへの翻訳も予定している. さらに本年度は,開発したセルフケア行動評価尺度の妥当性・信頼性検証のための自記式質問紙調査を日本,米国,イスラエルで進めた.特に,米国でのデータ収集を円滑に進めるため,米国の研究者らと調整を行った.データが整い次第,データ解析を行い,開発した尺度の信頼性・妥当性を検証する予定である.その後,開発した尺度を用いて,植込み型LVAD患者のセルフケア行動に関連する因子を明らかにするとともに,セルフケアとVAD合併症・生命予後の関連性を検討する予定である. 植込み型LVAD患者に対する効果的なセルフケア支援の確立はわが国だけでなく海外でも重要な課題である.開発される尺度は,セルフケア支援を要する患者のスクリーニングツールとしてのみならずセルフケア教育支援の評価指標としても使用可能である.本研究で得られる知見は国内外の植込み型LVAD患者のセルフケア支援の質の向上に資することが期待される.
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