研究課題/領域番号 |
15K20700
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
小笠 美春 同志社女子大学, 看護学部, 講師 (70544550)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 胃切除術 / 胃がん / 自己管理 / セルフマネジメント / 文献調査 |
研究実績の概要 |
平成27年度の目標は、胃切除後後遺症に対するセルフマネジメントの概念を明らかにするために、文献調査を行うことであった。 セルフマネジメントの概念については、Oncology Nursing Societyが発表している「2014~2018 Research Agenda」を参考に、セルフマネジメントには①治療上のマネジメント、②役割マネジメント、③感情のマネジメントの3つのタスクがあり、これらのすべてに対処できることが目標とされ、そのためには①問題解決、②意思決定、③資源活用、④医療者とのパートナーシップの形成、⑤行動を起こす5つのコアスキルが必要である(Loring & Holman)ととらえた。そのため、本研究ではこれらの定義をもとに胃切除術後がん患者の自己管理スキルを「胃切除術を受けた胃がん患者が、治療上のマネジメント、役割マネジメント、感情のマネジメントのタスクに対処するために必要な、問題解決、意思決定、資源の活用、医療者とのパートナーシップの形成、行動を起こすことであり、経験により獲得していくもの」と定義した。 また、胃がん手術患者のセルフマネジメント支援プログラムに活用する尺度開発に向けて、これまで開発されている国内外の自己管理に関する尺度の内容と信頼性・妥当性を文献調査から明らかにし、開発された尺度の臨床活用可能性について考察した。 その結果、既存の尺度のほとんどが非がん慢性疾患を対象としており、がんを対象としたものは1件のみで、信頼性と妥当性が課題となっていた。また、測定概念はセルフケアとセルフマネジメントの区別が明確にはされていなかった。信頼性および妥当性の両方において臨床活用可能な基準を満たしている尺度に共通していることは、測定概念の定義を明確にしていることであった。文献調査の結果は、現在看護系学術雑誌に投稿中である。 平成28年度の目標は尺度開発であり、すでに質問項目作成に着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度はセルフマネジメントの概念を明らかにすることであったが、Oncology Nursing Societyが発表している「2014~2018 Research Agenda」のセルフマネジメントの概念を参考に、胃切除術後がん患者の自己管理スキルを定義することができた。 そのため、概念分析ではなく国内外ですでに開発されている自己管理に関連する尺度を文献調査することで、平成28年度に計画している尺度開発に向けた示唆を得ることができた。また、すでに尺度の質問項目作成に着手しており、本研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、胃がん手術患者のセルフマネジメント支援プログラムに活用する尺度開発を予定している。当初「胃がん手術患者用セルフマネジメント困難感尺度」の開発を予定していたが、平成27年度の研究成果から、自己管理を支援していくためには患者の自己管理スキルに働きかけることが重要であると考えた。そのため、セルフマネジメント困難感ではなく食生活自己管理スキルをアセスメントする尺度を開発していくこととする。 平成28年度は、質問項目を完成させ、プレテストを行い、本調査につなげていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、すべての研究を研究代表者で行ったため、申請していた人件費・謝金を使用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は尺度開発に着手するため、質問紙調査のための印刷費や研究対象者への謝金、研究補助者への人件費に主に使用していく。
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