研究課題/領域番号 |
15K20700
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
小笠 美春 同志社女子大学, 看護学部, 講師 (70544550)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 胃切除術 / 胃がん / 自己管理 / セルフマネジメント / 尺度開発 |
研究実績の概要 |
平成29年度の目標は、平成28年度に作成した胃がん手術患者のセルフマネジメント支援に活用するための尺度である「胃切除後がん患者の食生活自己管理スキル尺度」の信頼性と妥当性を検証することであった。 ①質問紙調査:胃切除術後3年未満の期間にある40歳以上80歳未満の患者を対象に、無記名自記式質問紙調査を実施した。質問紙は、基準関連妥当性を検討するための、健康関連QOL尺度である「SF-8日本語版」、収束的妥当性を検討するための「自己管理スキル尺度」、「胃切除後がん患者の食生活自己管理スキル尺度(第2案)」、対象者の属性で構成した。質問紙が回収できたのは331名(回収率78.4%)で、選定基準を満たさなかった4名および、回答に欠損値があった5名を除外し、322名を分析対象とした。 ②信頼性と妥当性のの検証:分析の結果、「胃切除後がん患者の食生活自己管理スキル尺度」は【食生活の自己管理スキル】を高次因子とする『重要他者とパートナーシップを形成する力』、『胃切除後障害を予防・対処する実行力』、『胃切除後障害に伴う課題を把握する力』、『自己効力感』の4因子27項目の二次因子構造モデルとなり、構成概念妥当性が確認された。また、Cronbach'sα係数は0.915であった。さらに、「胃切除後がん患者の食生活自己管理スキル尺度」合計得点と「経験したことがある胃切除後障害の症状の数」、下位尺度『胃切除後障害に伴う課題を把握する力』得点と「経験したことがある胃切除後障害の症状の数」、下位尺度『自己効力感』得点とSF-8で基準関連妥当性が確認された。したがって、「胃切除後がん患者の食生活自己管理スキル尺度」は臨床活用可能な尺度となった。 平成30年度の目標は、「胃切除後がん患者の食生活自己管理スキル尺度」を活用したセルフマネジメント支援プログラムの内容を検討することである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は尺度の信頼性と妥当性を検証するために、質問紙調査を行うことであった。尺度開発研究には質問項目数の5~10倍のサンプル数を必要とするため、当初研究協力を依頼していた施設では、対象者の確保が困難となった。そのため、対象施設を2施設追加することにより、予定通りのサンプル数が確保できた。さらに、データ分析については、尺度開発研究に精通した研究者のスーパーバイズが得られた。そのため、順調に研究をすすめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は「胃切除後がん患者の食生活自己管理スキル尺度」を活用したセルフマネジメント支援プログラムの内容を検討することを目標としている。プログラム内容を検討するにあたり、消化器外科看護の観点だけではなく、がん看護および栄養指導の観点も必要となってくる。その際には、尺度開発の際に協力を得たがん看護専門看護師や認定看護師、胃切除後がん患者の食事指導に携っている管理栄養士に再度協力を求めながら、プログラム内容を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会での成果発表および情報収集のため旅費を計上していたが、国際学会1件のみでの成果発表となたっため、旅費が半分残った。 平成30年度は支援プログラムの内容を検討するため、検討会に参加していただく方への謝金等に使用する。
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