2018年度の目標は、「胃切除後がん患者の食生活自己管理スキル尺度(DHSMS尺度)」を活用した自己管理支援プログラムの内容を検討することであった。 まず、自己管理支援に向けた示唆を得るために、胃切除後がん患者315名のDHSMS尺度得点を分析した。その結果、『重要他者とパートナーシップを形成する力』は70~79歳が60~69歳に比べ、また、術後6ヶ月未満が術後2年6ヶ月以上3年未満に比べ、有意に得点が高かった。『胃切除術後障害を予防・対処する実行力』は女性が男性に比べ、また、無職が有職に比べ、有意に得点が高かった。さらに、70~79歳が40~59歳と60~69歳に比べ、有意に得点が高かった。『胃切除後障害に伴う課題を把握する力』は40~59歳が60~69歳に比べ、有意に得点が高かった。『自己効力感』は不快症状の出現頻度が月に2~3回程度が食後にほぼ毎回に比べ、有意に得点が高かった。これらのことから、有職者や70歳未満の患者は、胃切除後障害の予防・対処行動をとることが困難な状況であることが示唆され、患者が社会的役割を調整しながら食生活を自己管理していくことができるよう、継続した多職種支援が必要であることが明らかとなった。 DHSMS尺度の質問項目得点は、自己管理スキルの獲得状況の程度を示しており、得点が低いほど該当項目に対する自己管理支援のニーズがあることを意味する。DHSMS尺度得点は、患者の食生活における全体的な自己管理スキルの傾向を表わしている。医療者は、患者が自己評価したDHSMS尺度を活用することで、患者の自己管理スキルの程度と胃切除後障害に伴う食生活の状況をアセスメントし、患者の自己管理スキルの獲得状況に応じた個別的な支援のプランニングを行うことができる。 現在自己管理支援プログラム内容の検討に着手しており、これらのことを前提に、自己管理支援プログラムを開発していく。
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