研究課題/領域番号 |
15K20701
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
福田 里砂 愛媛大学, 医学系研究科, 講師 (40534938)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 続発性リンパ浮腫 / 運動 |
研究実績の概要 |
本研究は、下肢リンパ浮腫患者を対象にした、リンパ浮腫および身体機能・精神的健康の改善に向けた運動プログラムの開発を行うことを目的とする。 平成27年度は、運動プログラムの開発に向け、リンパ浮腫および身体機能・精神的健康の改善に効果のある運動を明確にするために、文献レビューを行った。文献検索には、PubMed、医学中央雑誌を用い、キーワードは、それぞれ"lymphedema""exercise""exercise therapy"、「リンパ浮腫」「運動療法」「身体運動」「動作」を用いた。論文の包括基準は、①対象がリンパ浮腫患者である、②客観的指標(肢周囲径、インピーダンスなど)を用いてリンパ浮腫の評価を行っている、③システマティックレビューまたは前向き研究(ただし、医学中央雑誌の検索に限り、事例報告も含む)、④英語または日本語、⑤2006年1月1日以降に出版されたものとした。 検索の結果、PubMedでは検索式に該当した243件中23件、医学中央雑誌では109件中3件が包括基準を満たした。対象論文のほとんどが上肢リンパ浮腫患者を対象にしたものであった。 文献レビューの結果、リンパ浮腫および身体機能・精神的健康の改善のために実施された運動はレジスタンス運動がほとんどで、その内容は、ダンベル運動、チェストプレス、筋の伸展・収縮に働きかけるようにバーなどを用いた運動、自動抵抗運動であった。レジスタンス運動の効果は様々で、肢周囲径や、リンパ浮腫による四肢の重さ・硬さなどの症状が改善したものもあれば、変化がなかったものもあったが、悪化したものはなかった。またQOLは、運動療法の前後で改善していた。下肢リンパ浮腫患者に対する運動の効果としては事例報告が1件あり、エルゴメーターと歩行を週に2-3回、約2ヶ月実施した結果、大腿・下腿・足背において、4.0-4.5%の浮腫の減退が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は、文献検討および下肢リンパ浮腫患者の運動療法への取り組みやその効果についての聞き取り調査をもとにリンパ浮腫の改善に効果のある運動プログラムを開発する予定であった。しかし、研究代表者が本研究に十分な時間を確保できず、聞き取り調査の機会を設定することができなかったため、文献検討によりリンパ浮腫や身体機能・精神的健康の改善に効果のある運動は明らかにできたが、運動プログラムの開発には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
下肢リンパ浮腫患者の運動療法への取り組みについての聞き取り調査を早急に実施するために、調査に協力していただくフィールドには、すでに了承を得た。よって、倫理審査の申請準備を早急に行い、平成28年度の前半には聞き取り調査を終了し、運動プログラムの開発を終了するよう努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
聞き取り調査を実施する予定であったが実施に至らず、それに伴う謝金、研究者の交通費を支出していないため、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に実施できなかった聞き取り調査を実施するため、謝金(2万円)、研究者の交通費(5千円)を計上した。また、開発した運動プログラムの実施可能性を調査するため、謝金(6万円)、研究者の交通費(2万円)、物品費(下肢筋力計、角度計、カメラなど)(30万円)、資料作成(文具、書籍、研究協力者謝金など)(7万円)を計上した。2つの調査に共通して、調査の打ち合わせや運動プログラムの作成のための会議費(2万円)、交通費(2万円)、会議の準備のための通信費や印刷費(3万円)、データ管理用品(ファイル、ポータブルハードディスク)(3.5万円)を計上した。 さらに、平成27年度に実施したリンパ浮腫の改善に対する運動療法の効果に関する文献レビューの結果について、国際学会での報告を予定しており、その参加費および旅費(15万円)、英文校正等のポスター作製費(3万円)を計上した。
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