研究実績の概要 |
今年度は人工膝関節全置換術(Total Knee Arthroplasty, TKA)患者と人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty, THA)患者の術前と術後6ヶ月の身体活動量と主観的評価を行い,術前後の変化を明らかにすることを目的に調査を行った. 調査対象者は、初回TKA患者108名(平均年齢73.3±6.4歳,女性83.3%),初回THA患者185名(平均年齢61.9±8.2歳,女性83.8%)であった.身体活動量は加速度内蔵型活動計(Lifecorder GS, SUZUKEN)を用いて,7日間のデータを分析した。TKA患者の一日の平均歩数は,術前3784歩,術後4750歩で,総身体活動量(TPA)は,術前44.5分/日, 術後55.3分/日,中強度以上の活動(MVPA)は術前3.0分/日, 術後6.3分/日で,歩数,身体活動量ともに有意に改善した(P<.001).THA患者の一日の平均歩数は,術前5112歩,術後7290歩で,TPAは術前57.6分/日,術後66.1分/日で,MVPAは,術前5.6分/日,術後8.1分/日で,いずれも術前より有意に増加した(P <0.001)。主観的評価について,痛みや身体機能を評価するOxford Knee Score,Oxford Hip Score,SF-8は術前より大きく改善した(P <0.001)。 先行研究において,下肢人工関節術後の身体活動量は,質問調査で測定したものは増加しているものの,加速度計等を用いて実測した身体活動は術前と同じレベルでほとんど変化がないことが報告されている.年齢による影響を考慮し,年齢別に身体活動量と主観的評価の分析を進めている段階である.
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