研究課題/領域番号 |
15K20705
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
柏倉 大作 札幌市立大学, 看護学部, 助教 (80634419)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 術後回復強化プロトコル / 看護 / ケトン体 / 分子栄養学 |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究実績の概要は下記の通りである。 1.本研究に協力の同意が得られた施設から、循環器外科手術を受けた患者を中心として過去約10年分の診療記録のデータを収集した。得られたデータで有益な知見が得られたため、国際雑誌への論文投稿を予定している。今後は、データ項目に不足があることから、今後追加データの入力・収集を予定している。 2.先行研究のクリティークにより、看護師の適時的な対応が必要なバリアンスは、術後せん妄や誤嚥性肺炎、ADL拡大に向けたリハビリテーションであることが推察された。術後せん妄は看護記録としても確実に記載される内容であるため、retrospective studyでも検討可能である。今後は、診療記録が得られた対象の看護記録から、看護師の適時的対応を要するバリアンスに関連した情報を収集する予定である。 3.術後回復強化プロトコルでは、患者の栄養状態の改善が重要である。従来、栄養状態はBMIや血中のタンパク質や脂質、血糖値や糖化タンパク質の濃度などで大まかに把握されていた。しかし、分子栄養学で最も重要視されているのは、生化学的知見から得られる、エネルギー代謝機構である。身体でのエネルギーは、各細胞にある解糖系やβ酸化、クエン酸回路で産生されるアデノシン三リン酸(ATP)が共通通貨として代謝されることで得られることが明らかとなっている。大量のエネルギーが産生可能なのは、主に脂肪酸やβヒドロキシ酪酸などのケトン体が原料となる好気的代謝のβ酸化やクエン酸回路における代謝である。エネルギー産生能を明らかにするためには、過去の診療記録だけではデータ項目に不足があるため、本研究では、従来の栄養指標を用いて、分子栄養学的視点で考察し、周手術期における患者の栄養状態の評価と術後合併症や回復強化に寄与する要因を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
得られたデータから有益な知見が得られており、論文投稿を予定している。追加データの収集も進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
得られた有益な知見で論文投稿を予定している。追加データが完了次第、データ分析を行う。データ収集施設数の拡大を目指し、本学関連施設に研究協力を依頼する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当確年度では、診療記録データ入力に対する謝金が発生しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の謝金の予算として割り当てる予定である。
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