【女性人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)患者の歩容の自己評価と心理社会的側面の影響モデルを作成すること】を目的に研究を進めた。A県の一大学病院の整形外科病棟でTHA目的に入院した術前の女性患者を対象に、歩容の自己評価<ビジュアルアナログスケール>と心理社会的側面(全体的健康感<SF-36>、自尊感情<自尊感情尺度>、公的自己意識<自己意識尺度>、抑うつ<CES-D>、跛行への思い<ビジュアルアナログスケール>)を自記式質問紙にて調査を行った。本研究は縦断研究のため、対象が術後6ヶ月経過した時点で、全く同じ内容の質問紙調査を行った。データ収集期間は平成28年11月から平成30年6月であった。102名に質問紙を配布し、88名から回答を得た。有効回答数は84例であった。この結果を基に影響モデルを作成した。論文化を行い、現在雑誌投稿中である。 【女性THA患者と寛骨臼回転骨切り術患者の歩容と心理社会的側面の比較】であるが、新しい寛骨臼骨切り術の1つである、低侵襲寛骨臼骨切り術(Spherical Periacetabular Osteotomy:SPO)患者を対象にすることに変更した。術後6~12ヶ月の女性THA患者とSPO患者に無記名自記式質問紙調査を行い、術前と術後の歩容の自己評価と心理社会的側面を比較した。THA患者70名、SPO患者10名から回答を得た。THA患者とSPO患者の歩容の自己評価はともに術前より術後に改善した。THA患者とSPO患者の心理社会的側面は歩容の自己評価と関連するが、その項目には違いがあった。以上より、女性変形性股関節症患者の歩容の自己評価をアセスメントすることは心理社会的側面の支援の一助となると示唆されたが、関係する心理社会的側面の項目には違いがあり、各々の時期や特徴に合わせたケアの必要性が考えられた。
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