手術を受ける多くの患者が抱く術前の高いレベルの不安は、頻脈、不整脈、そして血圧の上昇を引き起こす要因であり、治療に重篤な影響を与える。術前の高い不安に起因するストレス反応による循環系への負荷で生じる心血管系合併症の誘発は問題であり、異常の早期発見と最適な看護実践が求められている。そこで、患者の不安を増大させることなく、安全に術前の循環動態を把握することができる生体情報センサを評価することを目的とした。生体情報センサは焦電型空圧センサを用いたエアセルシート構造とし、体動によって生じる空圧の微小な動きから脈拍数、呼吸数を測定できるものとした。対象は麻酔科医が自発呼吸下にて全身麻酔を管理と判断した手術を受ける5名の成人患者とした。生体情報センサは手術前に手術台マットレス下に設置し、測定は全身麻酔導入後から手術終了までとした。測定に用いた値は体動のスコアが低値における脈拍数と呼吸数とし、各対象者から各10回の計50回の測定値を分析の対象とした。評価はゴールドスタンダードとして測定した脈拍数・呼吸数の値と比較して臨床にて許容できる+/-10%または脈拍数は+/-5回/分、呼吸数は+/-2回/分以内を基準として評価した。結果、脈拍数・呼吸数それぞれ、臨床にて許容できる範囲内であった。生体情報センサを用いることで、術前の循環動態の把握から、看護介入をすべきか否か、またどのような看護介入をすべきか、判断するツールの一つになると考えられた。
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