目的:中咽頭がん術後の摂食嚥下機能をベッドサイドで簡便にアセスメントするツールとして、術式から摂食嚥下障害の状況を特定するまでのアセスメントのプロセスを可視化するアルゴリズム案を作成し、臨床での実施可能性、妥当性を確認の後修正案を作成した。アルゴリズム修正案の信頼性と臨床での汎用性を検証することを目的とした。 研究期間:2年間(平成28、29年度)の予定で実施したが、予定症例数に満たなかったため、平成31年3月31日まで研究期間を延長してデータ収集を行った。 対象と方法:がん専門病院2施設における術後中咽頭がん患者13名(男性11名、女性2名、平均年齢64.2歳、再建なし3名、再建あり10名)、当該病棟の看護師13名(女性10名、男性3名、頭頸部外科病棟平均4.8年)を対象とした。看護師がアルゴリズムを用いて術後患者の摂食嚥下機能をアセスメントし、至適基準を嚥下造影検査(Videofluorography:VF)結果として、9項目のアセスメント判定結果の敏感度(アルゴリズムで問題あり/VFで問題あり)と特異度(アルゴリズムで問題なし/VFで問題なし)を算出した。VFの評価基準は、嚥下造影の標準的検査法(詳細版)(日摂食嚥下リハ会誌2004)に準拠した。 結果と考察:他の頭頸部がんにて手術歴のあった1名を除く12名を分析した。アセスメント所要時間の平均は、13.8分であった。各アセスメント項目の敏感度の平均0.28、特異度の平均0.78で敏感度が低かった。アルゴリズムを用いたアセスメントでは、VF結果で問題があった項目を診査するための身体診査は導き出すことができていた。しかし、看護師の身体診査実施経験が少なかったこと、今回のアセスメントでは、身体診査の実施が1回のみであったことが、敏感度の低さに繋がったと考える。今後は、身体診査の普及や身体診査の実施回数を増やす必要があると考える。
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