研究実績の概要 |
平成29年度に引き続き、先行研究での成果を再検討、発表したことにより、本研究が対象としている生活機能を評価することの重要性を確認したとともに、より効果的な尺度を作成するために、概念枠組みを整理し、質問肢を慎重に洗練していった.尺度の認知テストを行う前に、先行研究では得られなかった対象への追加データ収集を行う必要があると判断し、データ収集、分析を行った. 生活機能尺度の構造は、WHO(2002)の国際生活機能分類:国際機能分類改定(International Classification of Functioning Disability and Health, 以下ICF)の概念枠組みを前提としている.これを用いた本研究の先行研究では、ICFの生活機能分類を用い、さらに患者の生活体験と比較、整理していく中で、身体の機能とは関係なく、参加の機能が維持、向上するパターンが得られた.生活機能の視点から得られたテーマは、症状や体験、生活の不自由さだけでなく、患者の工夫や生活を患者自身が構築していく可能性に目を向けることとなり、慢性呼吸不全患者の生活の実態を説明することが示された.概念枠組みの確認および、質問肢の洗練を行うため、質問肢に関する構成要素の妥当性について追加でデータ収集を行い、患者の生活の実態を反映する尺度項目の抽出を行った. これらの結果、本研究の目的である先行研究を基盤とした慢性呼吸不全患者の生活機能を可視化する尺度の構成要素および尺度項目の抽出に関する検討を行うことができた. 今後は、本研究で得られた結果をもとに、臨床で使用可能な尺度への修正に向けて調査を継続していく準備を進めており、本研究結果を国内外の専門誌や学会で発表の予定である.
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