平成29年度は前年度までの研究結果を踏まえ、慢性閉塞性肺疾患患者への体調調整のセルフケアを支援するための介入プログラムを作成することを目的とした文献検討を中心に実施した。また、前年度までの研究成果を発表した。 介入プログラムの作成において、前年度までの研究成果の中で、体調調整に対する取り組みの程度が高い群では、健康関連QOLにおける精神の得点が比較的高い傾向がみられることも鑑み、慢性疾患、慢性閉塞性肺疾患、セルフケア、息切れ、自己効力感などをキーワードとして、慢性病を持つ方がどのようにセルフケアを継続して行うことができているのか、また、慢性閉塞性疾患患者に特有のセルフケアの中心概念とは何かを明らかにするための国内外の文献について検討を行った。 前年度までの成果と今回の文献検討の結果から、知識を得ること、自身の体調に合わせ調整するための取り組みを見出し、実行する力を高めること、日常生活を調整し、取り組んだ行為に対する変化を見出す力が体調調整を継続していくために必要となることが明らかになった。また、それまでの生活の中で身体の体験として形づけられた生活を理解できるように支え、患者自身が自分自身の身体を理解し、自分自身の身体を引き受けられるような支えが必要であると考えた。そして患者が持つ身体能力に合わせた体調調整のための行為を見出せるためには、プログラムとしての介入の中で、患者の語りを引き出すこと、自分自身の身体に対する信頼を取り戻せるよう、手当てできるように客観的、主観的な成果を一緒に確認していくことが必要となることが明らかになった。今後、これらについてより具体的なケア実践を検討し、介入プログラムの作成と介入の成果が作成した体調調整の質問紙がどのように介入の変化として現れるのかについて検討するための研究に取り組んでいきたい。
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