研究課題/領域番号 |
15K20724
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研究機関 | 静岡県立静岡がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
津村 明美 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (90595969)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 小児がん |
研究実績の概要 |
がん治療の進歩により、小児がん患者の70%は治癒が見込めるまでに至っている。こどもががんに罹患すると、患者のみならず、その家族の成員全員が危機的状態に陥る。 小児がん患者の親が経験するストレスは、患者のニーズへの対応、変化する家族生活への対処、経済的問題、精神的苦痛など、多岐にわたる。なかでも母親の精神的苦痛は、最も頻度が高く深刻である。小児がん患者の家族の良好な適応は、患者のQOLにも影響するため、より早期から家族への適切な支援が求められている。欧米では、小児がん患者の診断後早期から支援を必要とする対象を、スクリーニングツールを用いて早期発見し、構造化された心理社会的介入を提供することで、精神的苦痛の軽減、心理社会的問題による家族の社会的不適応状態の改善、QOL向上などにおいて効果をあげている。 しかしながら、わが国における小児がん患者の主介護者の精神的苦痛の実態は明らかになっておらず、心理社会的支援を必要とする対象の把握、効果的なサポートやケアの開発を行う上での知見は極めて限られている。 本研究では、小児がん患者の主介護者である母親における、抑うつや不安などの精神的苦痛の頻度および、これらの関連/予測要因を明らかにすることを目的とした自記式質問紙調査を多施設共同研究として実施している。 同時に、小児がん患者・家族の心理社会的問題のスクリーニングツールであるPsychosocial Assessment Tool(PAT)日本語版を作成し、現在は、計量心理学的にPAT日本語版の信頼性・妥当性を検討しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度より、予定していた研究計画に加えて、PAT日本語版の開発を行うこととしたため、当初の予定よりも進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は多施設での調査によるデータ収集・解析に力を入れてすすめていく。 PAT日本語版開発については信頼性・妥当性の検証、臨床応用に向けてのさらなる研究計画などを検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画に加えてPAT日本語版を開発することとしたため進捗の遅れがあり、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の予算もあわせて使用していきながら、当初の計画の質問紙調査とPAT日本語版開発を同時にすすめていく。
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