①訪問調査では米国のWomen&Infant HospitalのDayHospitalを訪問した。DayHospitalは病棟内にあり、ミーティングルームやデイルーム、保育室等の設備が整えられていた。利用者は妊娠中または産後1年以内の妊産婦で対人関係療法に基づいたグループセッションやマインドフルネス、ベビーマッサージ等が行われていた。 ②当院における母子分離の現状について後方視調査を行った。2008年1月から2014年12月までの期間に、当院精神科に入院を経験した妊産婦は26名だった。産後入院を経験した17名のうち、入院中に、12名の産婦が児との面会を行い、7名の産婦が外出や外泊等で児との交流を行っていた。母子分離が長期に及ぶ例もあり、ボンディングや母子の相互交流について評価や介入が必要と考えられた。 ③訪問調査、後方視調査及び先行研究を参考に、メンタルヘルス、夫婦関係、ボンディングへの介入を目的としたデイプログラムを作成した。対象者は産後6ヶ月以内の母子であり、エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)が9点以上、抑うつ障害群または不安症群、夫またはパートナーがいること等を対象基準とした。対象者はランダム化し、介入群と通常治療群に分けた。評価は介入前(T1)、介入中(T2)、直後(T3)及び6ヶ月後(T4)、1年後(T5)にアンケート調査を実施した。12名が研究に参加した。介入群のEPDS得点は、14.0±3.69(T1)、9.7±7.3(T2)、9.4±9.2(T3)、通常治療群のEPDS得点は、15.0±5.4(T1)、13.8±5.6(T2)、8.5±3.9(T3)であり、介入群ではT2時点から得点が低下していたが、各時期の両群の得点に有意差はみられなかった。
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