母乳育児は母子の健康にとって最適である。しかし、ラオスでは母乳で育てられている6か月未満児は26%に過ぎず、高い乳児死亡率の一因となっている。WHO/Unicefの推奨する授乳ケアを行う「赤ちゃんにやさしい病院」では、母親の母乳育児自己効力感を高めることで母乳率が有意に上昇することが示されている。ラオスの首都近郊では、9割の女性が「赤ちゃんにやさしい病院」の認定を受けた病院で出産している。それにも関わらず、母乳率改善は乏しい。そこで、本研究の最終目的は、母乳育児自己効力感を高めることで、母乳率を改善する介入をラオスの首都ビエンチャンにおいて開発することである。 平成27年度は、文献レビューおよびキーインフォーマントインタビューを行い首都および首都近郊での母乳育児の現状を把握した。また、母乳育児自己効力感尺度の原案を用いて、産後2日から14日の女性10人にインタビューを行った。尺度原案は、ラオスの女性にはわかりにくい部分が多いこともわかった。 平成28年度は、上記の結果を踏まえ、ラオス在住のラクテーションコンサルタントおよびWHOの母子保健専門家へもコンサルトし、ラオス語版母乳育児自己効力感尺度の改良を行った。また、研究に協力する病院の選定を行い、介入プロトコールの作成を行った。 平成29年度は、対照群でのデータ収集、助産師・看護師へのトレーニング、介入群でのデータ収集を開始した。 平成30年度は、フォローアップのデータ収集を行い、結果を分析した。2018年10月16-17日にビエンチャンにて開催されたNational Health Research Forumにて結果を公表した他、2019年2月20日には研究に協力した病院にて結果のフィードバックとディスカッションを行った。
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