研究課題/領域番号 |
15K20730
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 美香子 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (40382957)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 慢性骨盤痛症候群 / 疼痛マネジメント / マニュアルセラピー / 筋弛緩 / バイオフィードバック |
研究実績の概要 |
【目的】慢性骨盤痛症候群では、骨盤底筋の過緊張により骨盤周辺に疼痛が持続的に生じることから、筋弛緩を目的とした徒手マッサージが有用である。本研究では患者自身が行う徒手マッサージによる疼痛マネジメントの確立を目指し、徒手マッサージ指導時のバイオフィードバックに利用可能な①骨盤底筋の圧痛点(Tenderness)を評価する生態指標の開発後、②徒手マッサージの有用性を検証する。 【方法】平成27年度は、慢性骨盤痛に関する国内外の文献レビュー、専門家との内容妥当性の検討から、超音波画像診断装置を用いた圧痛点の観察指標の開発を目指した。 【結果】Medline、医学中央雑誌(~2016年3月末)において、キーワード「慢性骨盤痛/Chronic Pelvic Pain」「圧痛/Tenderness」「超音波/Ultrasound」「画像/Image」等用いて、英文献に絞り検索した。結果15本が該当し、子宮内膜患者において圧痛点は超音波画像の低輝度所見(線上の肥厚、塊)として確認できることが明らかとなった。しかし、これはプローブを体腔へ挿入する経膣超音波法によるものであったため、看護師でも実施できる経会陰超音波法でプレテストを行った。結果、プローブと圧痛点までの距離が離れるため低輝度所見の描出は難しく、十分な再現性を確認できなかった。 【考察】圧痛点は超音波画像に描出が可能であり、徒手マッサージ指導時のバイオフィードバックに利用可能な生態指標と考えられた。しかし、経会陰超音波法を用いる場合には、描出手技の工夫や画像解析等の検討が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、患者自身が行う徒手マッサージによる疼痛マネジメントの有効性検証までであり、患者へのマッサージ方法の教育方法の確立は重要である。慢性骨盤痛がある患者においては、マッサージを行うべき箇所(圧痛点)の観察のために、更なる疼痛が生じることは避ける必要がある。そのため体腔に機器を入れない、非侵襲的な経会陰超音波法での確立を目指しており、現在までに、生態指標の候補は決定できたものの、その観察方法の確立に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、経会陰超音波法での圧痛点の評価方法を確立する。その後、その生態指標を教育支援(バイオフィードバック)に入れた筋弛緩を目的とした徒手マッサージの教育プログラムを考案する。患者への教育のアクションリサーチをしながら教育プログラムを確立し、有効性検証の研究を計画する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
経会陰超音波法での圧痛点の評価方法を確立するために時間を要ししたため、当初予定していた、慢性骨盤痛患者と骨盤底障害を有さないボランティア間での臨床調査は本年度に進めていく予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
そのため前年度予定した予算は、下記のように今年度支出し、データ収集・解析を進めていく。 物品費474,292円、旅費300,000円、人件費200,000円、その他200,000円
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