研究課題
これまでに、筋電位トポグラムでは、抱っこ動作を繰り返すことによる筋活動の部位や強さの変化状態を視覚的に捉える事ができていた。僧帽筋部には、動作負荷による経時的な電位変化が出現しており、筋変化の出現や回復状況は被験者間で異なっていたが、個々の自覚症状部位とは近似していた。これらの事から、抱っこ動作を日々繰り返すことにより、僧帽筋部には持続的な筋緊張がもたらされ、痛み等の頚肩部症状として自覚されることが考えられた。これらに加え、本年度は、身体負荷の多面的な評価として、抱っこ動作を繰り返すことによる、頚肩部の血流状況と不快症状の程度について、健康な成人女性15名を対象に観察を行った。皮膚血流量の経時的変化には、動作負荷に伴い血流が上昇し、回復期においても上昇を続けるパターンと動作負荷に伴い減少し、回復期においても、血流の回復がみられないといった、2つのパターンが抽出された。同時測定した頚肩部の不快症状の程度には、13名の被験者は動作負荷と共に不快症状が強くなっていたが、2名は動作負荷に伴い不快症状が軽減する傾向がみられた。これらの事から、抱っこ動作の繰り返しには、筋緊張に加えて皮膚血液循環の不足をもたらすことも考えられた。血流状況や自覚症状にも経時的な変化があり個々の特徴を持つことから、負荷の個々の特徴を理解する事により、育児動作に伴う頚肩部負荷の軽減に対する個別的な予防介入を可能にすることが考えられた。
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Annals of Nursing and Practice
巻: 3 ページ: 1068(1)-1068(4)
2379-9501