研究課題/領域番号 |
15K20736
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
落合 亮太 横浜市立大学, 医学研究科, 准教授 (90587370)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 先天性心疾患 / 社会保障制度 / 障害者雇用 / 合理的配慮 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、実施を予定している患者と家族、および企業関係者を対象とした先天性心疾患患者の就労と社会保障制度利用に関する実態調査の実施に向けたフィールド調整と倫理申請準備を行った。調査票、面接ガイド、フィールド調整は終了しており、次年度、倫理申請と研究実施を予定している。 また、実態調査と並行して、雇用上の実際的な課題解決に向けた試みとして、患者と家族、および医療者を対象とした教育ツールの開発を行った。まず、平成27年度に実施した既存データの再分析から、先天性心疾患患者の就職・就業継続時の問題として、「職場の理解が得られなかった」「採用時、障害者であることを伝えていなかった」という疾患開示と職場環境調整があることが明らかとなったため、研究に協力する患者本人と小児心臓血管外科医と協議の上、先天性心疾患患者の職場での疾患開示、およびその前提となる患者本人による疾患理解を促すための動画教材を作成した。移行期医療の観点から、疾患理解と疾患開示は就職前後にはじめるのではなく、小児期に担当医師や学校教員、友人などに対して行うことからはじめることが重要と考えられたため、動画のテーマは、「小学校低学年における疾患の伝え方」「小学校高学年における疾患の伝え方」「中学校進学時の疾患の伝え方」「就職前後の疾患の伝え方」の年代別とした。さらに、先天性心疾患患者の社会保障制度利用の円滑化を目的に、患者団体、循環器内科医、心臓血管外科医と協議し、各制度の利用条件や手続き、利用時の患者側・医療者側の留意点をまとめたフローチャートを作成した。当該資料は今後、学会およびウェブ上で公開予定である。次年度以降、作成した動画教材、およびフローチャートの有用性について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実態調査の実施には至っていないものの準備は進んでおり、また、課題解決に向けた教育ツールも開発されていることから、プロセスは概ね順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、本年度作成した調査票、面接ガイドに基づき、先天性心疾患患者の就労と社会保障制度利用に関する調査を実施し、成人先天性心疾患患者の就労と社会保障制度利用の実態を明らかにする必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、予定していた患者と家族、および企業関係者を対象とした先天性心疾患患者の就労と社会保障制度利用に関する実態調査を実施しなかったため、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
実態調査実施に必要な質問紙の印刷、郵送費用、面接調査交通費、対象者への謝金などに研究費を使用する。
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