研究実績の概要 |
本研究の当初の目的は、療養中の子どもの親の退院準備性尺度(Readiness of Hospital Discharge Scale-Parent Form)の日本語版(以下、JRHDS-PF)を作成し標準化することであった。当時筆者は、博士後期課程にて沖縄県にある4つのNICUから退院する乳児の親約100名を対象にJRHDS-PFを退院前調査票に、日本語版Transition Questionnaire(以下、JTQ)を退院後調査票に含めた退院前から退院後1か月までの前向き調査の途上であった。結果、JRHDS-PFは原版よりも因子が一つ少ない4因子構造で信頼性が高く(Cronbach'α=.90)、構成概念妥当性と基準関連妥当性が証明された(2016年3月,学位論文)。一方、予測妥当性は確認できず、退院後調査の回収率が3割に低下したことが要因と推測された。よって平成28年度以降の2段階調査は小児病棟へ調査場所を拡大する計画から変更し、日本の複数地域のNICUの協力を得てデータ数を増やし、NICUから退院する乳児の親用退院準備性尺度の標準化を目指した。 平成28(2016)年8月に国際新生児看護学会(バンクーバー)で本調査の一部を報告した際、TQの開発者から尺度改定の報告を受け急遽、2段階調査の前に改訂版TQを翻訳、表面妥当性を検討した(上原,前田,2018)。平成28(2016)年10月より日本の3地域にあるNICUで2段階調査を順次開始し、平成30(2018)年3月データ収集を完了した。 最終年度はデータ分析と公表準備を進めた。JRHDS-PFは日本看護科学学会(2018年12月,松山)、改定JTQは国際新生児看護学会(2019年5月)で報告し海外誌へ投稿予定。また、平成30(2018)年度より継続して若手研究費を獲得できたため、尺度の実用化に向けた調査を継続している。
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