研究実績の概要 |
平成27年度は,食物アレルギー(以下,FA児とする)食物除去と除去解除に関する母親の行動の現状を明らかにすることを目的に, アレルギー外来を通院中でFA児を持つ母親を対象に,インタビューを実施した. インタビューでは,10カ月から7歳2カ月のFA児を持つ母親10名より研究参加の協力が得られた.FA児が安全な食生活を送るために,親が行う様々な行動が以下のように明らかになった. 家庭では『恐怖心があるので,指示通りに原因食品を与えない』という行動があった.6歳までに自然耐性を獲得できなかったFA児は,一生涯,食物の除去を継続する必要性が高まる.そのため,母親が恐怖心を抱くことのないよう,治療の目的を丁寧に説明する必要性が示唆された. また,『FA児を喜ばせたいので,見た目が同じに見える代替食を作る』という行動の一方で,『FA児が混乱するので見た目が同じ代替食を作るのをやめる』という行動があった.幼児期は,徐々に他人との違いを自覚し始める時期で,大人や同胞と同じ食べ物に興味を持ち,食べたがるようになる.幼児期のFA児に代替食を作る場合は, 見た目が同じであっても,食材は違うことをFA児に伝え,誤食が起きない注意が必要である. さらに,母親はFA児が安全な日常生活を送るために,外食時及び幼稚園や保育所の通園時において,メニュー表や献立表のアレルギー物質を含む食品の表示を確認し,誤食の予防を行っていた. アレルギー外来の看護師には,FA児の母親達に正確で分かりやすいFAの情報が掲載された資料を紹介することや,幼稚園や保育所との個別面談でアレルギーの経過や家庭での食事の状況について伝えるポイントを教えるなど,FA児が安全な日常生活を送るために親を支援する重要性が示唆された.
|