研究実績の概要 |
FA児が安全な日常生活を送るために,アレルギー外来を担当する看護師は,どのような支援を親子に行っているのか明らかにすることを目的に,外来看護師6名に半構造化面接を実施し,質的記述的に分析をした. その結果,【FA児の治療を継続するために家族との信頼関係の基盤を作る】【周囲の人々やFA児自身に治療の理解を深めてもらう】【母親のアドヒアランスを高める】【アレルギーを起こしにくいようにFA児の皮膚の状態を整える】【FA児の療養行動に対する主体性を育てる】【FA児が安全に原因食物の摂取を継続できるようにする】【FA児が栄養バランスの取れた食生活を送れるようにする】【家族がいつでも医療者に相談しやすい体制を整える】【家族がアレルギー症状の重症度に応じた対応ができるように働きかける】の9つのカテゴリーが抽出された. 明らかになった結果の中でも,【周囲の人々や FA 児自身に治療の理解を深めてもらう】ために,食物完全除去時からFA 児が原因食物を毒だと思わないように関わるといったFA児の心情を考慮した関わりは,原因食物の摂取が恐怖体験にならないために重要であることが示唆された.また,【FA 児の療養行動に対する主体性を育てる】ために,FA 児と治療の契約を結ぶ関わりは,子どもが治療の主体であると自覚する上で大きな意味を持つことから,FA 児が治療の主体であると自覚するための支援につながると考える.さらに,周囲の大人の働きかけが,子どもの主体性に影響するため,子どもに主役であることを伝え,頑張りを称賛するといった働きかけが重要であることから,FA 児と治療の契約を結ぶ関わりは子どもの主体性を育むための大事な支援であると考える. このように,FA児や家族が安全な日常生活を送るために,多様で継続的な支援を外来看護師が行っていることが明らかにされた.
|