研究実績の概要 |
慢性疾患をもつ子どものレジリエンシーと、病気が生活に与える影響、ソーシャルサポートの関係を明らかにすることを目的とし、10~15歳の慢性疾患児を対象として2018年7月から2019年3月に質問紙調査を行った。質問項目は病気に関する属性(服薬の有無、入院頻度と平均入院期間、学校の出席状況、運動制限の程度、治療状況、ボディイメージの変化の有無、病気の理解・セルフケア)、レジリエンシー(I AM, I HAVE, I CAN, I WILL)、ソーシャルサポート(父親、母親、きょうだい、教師、医療スタッフ、友人・知人)である。結果、57名から回答が得られた。対象者の属性は、平均年齢12.4±1.9歳、男性23名、女性34名であった。患児の属性および疾病では、性別のみ女性が男性より有意に「I AM」の得点が高値であった。「自分の病気のことを理解できる」と「I AM」に0.33と弱い相関を、「医師の話している内容が理解できる」で、レジリエンシー全てで0.30~0.41の相関を認めた。ソーシャルサポートでは友人・知人が全てのレジリエンシー項目に対して0.32~0.54の相関を示した。分析の結果、以下が明らかとなった。1)友人・知人が全てのレジリエンシー項目に対して弱~中程度の相関を示した。学校での生活状況を確認し、担当教師、養護教諭、保護者と連携を取りつつ、学校での交友関係を良好に保つ必要がある。2)周囲が患児の状況を理解し、手を差し伸べることが自分を肯定的に捉える能力である「I AM」を高めることにつながることが示唆された。3)患児の発達に合わせ、定期的に疾患の理解度を確認し、教育的な介入を行うことでレジリエンシーを向上できる可能性が示唆された。
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