本研究の目的は、未受診妊婦の背景が「未受診」という行動にどのような影響を与えているのかを明らかにし、未受診妊婦の受診行動につながる支援を構築することである。2018年度は最終年度として、昨年度から実施しているインタビュー調査を症例数確保のため継続して実施し、その結果を分析した。 方法は未受診にて出産に至った入院中の褥婦に対し、基本的属性、個々の背景、妊娠から出産までの経緯、妊娠中に望まれた支援をインタビューガイドに沿って、半構造的面接を行った。得られた内容は質的に分析した。対象者は31名であり、妊娠の自覚があった19名(自覚あり群)、自覚がなかった12名(自覚なし群)に分けられた。未受診妊婦の受診行動につなげるためには自覚がありながらも、受診できなかった経緯を明らかにする必要があるため、自覚あり群を分析対象とした。年齢は10代3名、20代12名、30代1名、40代3名であった。初産は10名、経産は9名であった。 初産は親との関係性に問題がない場合、後ろめたさ等から相談できていなかったが、家族との関係性が複雑であったり、パートナー不在など孤立した状況にある褥婦もいた。経産はパートナーの不在や関心の低さから十分に相談できず受診時期を逃したまま行動できなかった褥婦がほとんどであったが、上子も未受診で、繰り返している褥婦もいた。日々、出産が近づく中で不安を感じながらも、さらに相談できない状況に追い詰められていた。しかし妊娠を隠す一方で、強引にでも病院に付き添ってくれる存在を望んでいた。今後内容をさらに精査し、妊娠、出産にまつわる相談や判断に悩む場面で、受診行動につなげるアドバイスができる方法(インターネット活用等)につなげていく。また自覚なし群に対しては性教育を通して妊娠に関する知識の底上げ、また自身の身体に関心を持ち、変化に気づく力を獲得できるような集団指導を実施していく。
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