本研究は、少子高齢社会の進展や入院期間の短縮化、病院から地域へのケアの場の移行など、高齢者ケアを取り巻く多様な変化に伴い、医療的社会的に多様なニーズをもつ高齢入所者へ質の高いケアの提供が求められる長期ケア施設における、看護職(看護師・准看護師)の入職、定着、離職に関連する要因を明らかにし、概念化することを目的とした。 具体的には、①国内外の高齢者長期ケア施設看護職の入職・定着・離職に関連する要因の検討、②長期ケア施設の管理的側面からの雇用・定着対策の現状と課題の抽出、③長期ケア施設で働く看護職の入職・定着・離職意向とその要因の抽出、④①~③をもとに、施設側、職員側双方からの入職・定着・離職に関連する要因の概念化、に取り組み、看護管理実践モデルの構築に資する基礎資料とすることであった。 平成27年度に実施した文献検討と英国を中心とした諸外国の高齢者ケア人材確保対策に関する情報収集をもとに、平成28年度は英国の高齢者ケアの現場における人材確保に関する現地調査を実施し、ケア人材の離職に影響を及ぼす職場環境やwell-beingの維持向上に向けた全国的な取り組みについて情報収集をおこなった。また、日本の長期ケア施設で働く管理者と看護職を対象とするインタビュー調査、インタビューガイドの作成と実施に向けた準備調整をおこなった。平成29年度は、インタビュー調査の実施を予定していたが、研究代表者の資格の喪失により研究を中断した。
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