平成27年度は、精神科病院の病棟看護師が捉える退院支援における専門職連携の現状と影響要因を明らかにした。この結果を基にして、平成28年度は「精神科病院における専門職連携を基盤とした退院支援に必要な看護師の能力」および「専門職連携を基盤とした退院支援に関連する研修内容と教育的関わり・機会」について明らかにした。 平成29年度は、これまでの成果をもとに考案した「精神科病院における専門職連携を基盤とした退院支援に必要な看護師の能力(コンピテンシー)を獲得するために必要な看護師現任教育プログラム(以下、プログラム)原案」について4病院の看護部教育担当者に提示し、意見を聞き取るためのインタビューを実施した。 平成30年度は、このインタビューの内容の分析結果を基にプログラム原案を再考し、プログラム案を作成した。平成30年度途中から令和元年は研究中断期間であった。 令和2年度は、文献レビューから精神科以外の専門職連携を基盤とした退院支援に必要な看護実践能力を明らかにし、精神科病院における看護実践能力と比較することで〔患者の力を信じて失敗を恐れず退院にトライする〕〔長期入院に問題意識をもち患者の地域生活移行を目指す〕〔患者の退院を諦めない〕〔慢性期にある患者にも退院に向けてコツコツと支援する〕〔退院に反対・消極的な人がいても支援に取り組む〕の5つの能力が精神科病院における専門職連携を基盤とした退院支援に必要な看護実践能力の特徴であることを示した。また、プログラムを洗練し、〔患者の力を信じて失敗を恐れず退院にトライする〕能力獲得のためには、〈リカバリー志向、ストレングスモデルに基づくアセスメントができる〉ことをねらいとして[リカバリー志向、ストレングスモデルに基づくアセスメントについては、講義形式だけでなく、日々の実践を基盤に学ぶ]など、獲得が必要な能力に対する教育のねらいと方法を明らかにした。
|