本研究は、精神科において看護師が多職種との連携や入院部門と外来部門との連携について、どのような視点をもって調整し、シームレスケアを実践しているのかを明らかにすること、さらには精神科外来を拠点とした地域医療-入院医療に対するシームレスケアガイドラインを作成することを目的としている。 平成30年度はインタビュー調査および地域移行に向けた看護実践の内容を分析したものから精神科看護師が在宅部門(外来、訪問看護、デイケアなど)への移行に向けて展開しているケアを抽出した。精神科看護師が外来部門及び入院部門において連携を図る状況のなかでは、【必要度に応じてそれぞれの専門職種につなぐ】【知り得た情報を多職種につなぐ】【各職種の“生きた情報”をつなぎ共有する】【共同目標を明確にする】などがみられた。また、連携が必要な患者の状況としては服薬や外来通院など、治療を自己中断し再発再燃を繰り返す事例や家族を含めて支援が必要であった事例などがみられた。治療の自己中断が課題であったケースでは、入院中に医療者との関係性を築くことにも時間を要し、それらを外来でも継続していくことが困難であったため、入院中からできるだけ早期に外来看護師も含めたチームカンファレンスを実施し、また患者と外来部門のスタッフが関わりを持つ場を積極的に取り入れることで退院後につながれるよう支援していることが明らかとなり、【ケアの継続性】【安心感の継続性】が重視されていた。家族への関わりとしては病棟内で行っているケアを伝え、【家族に担って欲しいことを具体的に提示すること】や【家族の不安を拾い上げる仕組みづくり】を取り入れていた。入院期間中から退院し、外来部門に橋渡しされるなかで、治療の場や関わる医療者は変化するが、ケアが継続的に提供され、獲得された安心感が継続していけるよう支援者が相互に連携している様子が明らかとなった。
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