本研究の目的は、在宅医療を受ける高齢者の肺炎に対する高度実践看護師ナースプラクティショナー(以下、NP)の介入プロセスを分析し、肺炎に対するNPの活動成果と役割を明らかにすることである。 平成27年度は、まず調査準備として、海外NPの在宅医療における活動や役割、その成果に関する文献を感染症(特に肺炎)を中心に収集し、海外NPの具体的な活動と役割を把握し、日本で在宅医療に携わるNPの活動成果と介入プロセスを明らかにするための効果的な研究方法やアウトカム指標について研究者間で検討を行った。次に、日本の介護老人保健施設で勤務するNPの感染症対応に着目し、NPのインタビュー調査と施設利用者の記録調査を行った。調査では、利用者の発熱状況から、発熱を指標とした生存時間分析を行い、NP導入によって利用者への診察頻度の増加や多職種連携の強化、スタッフの感染症に対する知識と技術の向上が可能となることで、結果的に発熱リスクが導入前に比べ低下したという活動成果が明らかとなった。 平成28年度は、訪問看護ステーションで勤務するNPの肺炎症例への介入に着目し調査を行った。NPが勤務する訪問看護ステーションで肺炎を発症した(疑われた)利用者の記録調査と、その利用者への介入についてNPや看護師へのインタビュー調査を行った。調査結果、ステーション利用者が肺炎(疑い)により状態変化した際の介入アルゴリズムが明らかとなった。NPは在宅医療チームの中心的立場として主治医や看護師、ケアマネージャーなどの多職種との連絡・調整を行い、利用者に必要な治療と適切な治療の場を、利用者の肺炎重症度に加え基礎疾患、治療の希望、介護力など総合的視点から判断し、対応していることが明らかとなった。
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