研究課題/領域番号 |
15K20779
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
田野 将尊 東京医療保健大学, 看護学部, 講師 (70583673)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 精神科救急病棟 / 精神科急性期病棟 / 地域移行 / 多職種連携 / 看護支援 |
研究実績の概要 |
本研究では、精神科救急・急性期病棟における地域移行支援に多職種連携を活用する方法を明確化することによって、多職種連携ガイドラインを開発することを目的としている。研究開始の初年度であった本年度は、学会参加や研究協力者との検討を通して研究計画の具体化を図るとともに、精神科救急・急性期病棟における退院支援、地域移行支援の現状や課題等について文献リサーチを行った。 文献レビューの結果、近年徐々に精神科救急・急性期治療ケアガイドラインや精神科急性期治療病棟のケア・プロトコール開発に取り組まれるようになってきているものの、実際の精神科救急・急性期病棟の地域移行支援における多職種連携は、各臨床場面によって試行錯誤でなされているのが現状であった。そのため、精神科救急・急性期病棟において多職種連携を促進させるための具体的な方法や要因、多職種連携を活用するための方法については、統一した見解や知見には至っていないことが明らかとなった。地域移行支援に関する課題としては、急性期病棟看護師の社会資源に関する知識不足など、患者の地域生活に関する知識が普及していないこと、患者の地域生活に関する情報収集不足など、患者の具体的な生活像をイメージ出来ないことによる地域生活に向けた支援の不足などが明らかとなった。文献レビューの結果からカテゴリー分類をすすめ、構造化を図っている。 また、退院支援や地域移行支援に関しての理解をさらに深めるための学習とモデル作成を行うための資料収集を実施した。精神看護専門看護師や精神科認定看護師などの専門家から研究の方向性についてアドバイスを受けつつ、調査協力依頼を行い研究フィールドの開拓を行った。 今後は、精神科救急・急性期病棟から退院した患者と直接関わる医療従事者より、救急・急性期病棟からの地域移行支援における課題や多職種連携の促進要因について調査を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究計画は、精神科救急・急性期病棟の地域移行支援に多職種連携を活用するための概念、具体的方法などを整理し、連携方法評価リストを作成することであった。しかし、文献レビューにおいて文献の選定やデータ内容の検討を慎重に行うために多くの時間を使用したことにより十分な調査時間を確保することが出来なかった結果、地域移行支援に関する課題の抽出には至ったものの、多職種連携を促進させるための具体的な方法の整理にまでは至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、研究実施にあたり倫理審査申請書の作成を実施する。文献レビューを継続すると共に、文献レビューの結果を基に、救急・急性期病棟から退院した患者を実際に受け入れている精神科訪問看護ステーションやAssertiveCommunityTreatment(ACT)を実践している団体において、精神科救急・急性期病棟から退院する患者に必要な地域生活を見据えた看護ケア・アセスメント、職種間や組織間の連携の実情や方法等について調査を行う予定である。これらの調査結果から、医療従事者の連携に対する認識、他職種と協働が必要なケア等を把握することによって、救急・急性期病棟からの地域移行支援における課題や多職種連携の促進要因の明確化を行う。調査対象施設への調査依頼を行っている最中であり、今後具体的な調査対象者のリクルートを行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究調査の進行が遅れたため、調査に要する旅費および人件費・謝金、データ整理や分析に要する物品購入のための消耗品費等が次年度に持ち越される。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、当初計画していた精神科訪問看護ステーションやACTを実践している団体において調査を行っていく予定である。この調査等のための旅費、研究調査費、調査対象者への謝礼等を予定している。また、調査結果の分析に必要となるデータ解析ツール等の購入およびデータ入力に必要な人件費を予定している。
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