多死社会を迎えつつあるなか、在宅看取りを希望する国民は多く、在宅でのエンドオブライフケアの充実が必要とされている。一方、療養者本人がどのようなケアを望んでいるかは明らかとなっていない。そこで、本研究では在宅療養者本人が望むエンドオブライフケアを明らかにすることを目的としている。 最終年度は在宅で訪問系サービスを受けつつ、自宅で最期まで過ごしたいと希望している65歳以上の在宅療養者6名に半構造化面接をそれぞれに1~2回行った。療養者の3名は独居であった。得られたデータを質的帰納的に分析を行った結果、以下の知見が得られた。 療養者の在宅で過ごしたいという希望は、「自分の裁量で過ごせる場」「慣れた環境で過ごせる場」という療養者が自宅に持たせた意味に基づいていた。療養者自身が望ましいと考えるエンドオブライフケアの内容としては1)身体の不自由が生活の不自由にならないようにする、2)身体や療養に関する相談にタイムリーかつ細やかに応じる、3)心配事への保証をおこなう、4)家で死ぬという希望を理解し、制度上の障害を解決する、ことが挙げられた。 いずれの療養者も最期まで在宅で過ごしたいという希望を示していたが、複数の療養者は、望ましいと考えるエンドオブライフケアが受けられない場合は施設や病院での死を選択する、とも述べており、在宅ケアの提供状況によっては療養者本人が望んでいる在宅看取りが必ずしも完遂しない可能性が示唆された。 また、前年度以前の研究をとりまとめ、日本看護科学学会学術集会にて発表した。
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