研究課題/領域番号 |
15K20783
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
渡邉 賢治 東京女子医科大学, 看護学部, 助教 (50733622)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ALS / Loss of control / 訪問看護師 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ALS患者のLoss of controlと患者への支援を訪問看護師の語りから明らかにすることである。 平成28年度上半期は、5名の研究協力者より計9例(テーマ)のインタビュー調査を実施した。関東圏内における熟練した訪問看護師へのインタビューおよび前後のフィールド調査(計13回)を実施した。前年度の地域連絡会議等への参加によってフィールド調査の項目を計画当初より拡大してのぞむことができた。インタビューを通して、Loss of controlや関連する用語を参加者と共有する機会にもなり、研究の意義と重要性を確認することができた。 また8月に開催された日本難病看護学会にて本研究の文献検討内容を発表した。わが国におけるALSの人々と医療者のやりとりをまとめた文献(資料や総説を含む)について、controlに関するALSの人々の4つの局面をレビューした。会場との意見交換を通してcontrolという用語のもつ多様な意味合い・解釈を確認し、用語の定義にむけた検討内容を整理につながった。 平成28年度下半期は、インタビューデータの分析およびその解釈の妥当性確保にむけた所属研究機関における意見交換を実施した。計119枚のラベルより第1回目の分析を実施した。しかしいくつかの分析過程において妥当性が十分ではないことがわかり、分析枠組みを修正して再分析することとした。 研究計画に照らし合わせた平成29年度に向けた課題としては、①データ分析時間の確保、②解釈の妥当性確保に向けた研究協力者らとの交流機会の確保、の2点が挙げられる。①については所属機関との調整によって本研究のためのエフォートを拡大することができたため、計画にそって分析作業を進めることとする。②については所属機関における研究活動および外部における研究会への参加を通して研究課題に関する意見交換の場を確保する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インタビューについて、5名の参加者より計9例のテーマを収集することができ、分析に必要なデータ量(多様性)を満たすことができた。また前年度の予定通り、学会での発表を実施できたことで研究に関する用語の操作的定義に必要な整理につなげることができた。 しかし、分析作業に必要な時間を十分に確保することができなかった。これは①下半期における所属機関での本務に必要な時間の予測および調整が不十分であったことにある。また、②新たに導入した分析ソフトの操作に慣れるまでに要する時間を予測していなかったことも原因の一つである。
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今後の研究の推進方策 |
上記理由のなかで①については、所属機関との調整によって確保した研究時間の中で再分析をすすめることとする。また他研究者との意見交換およびそのための資料作成を通して、分析内容の妥当性確保に向けたプロセス実施を予定している。 また②については時間の経過と共に操作は円滑になったと考えている。しかし、今後同様の課題が発生する可能性をふまえ、同ソフトの教育セミナーへの参加を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度において再分析および分析結果の解釈、考察を実施することとなり、これに必要な物品費(図書)および他研究者との意見交換に必要な旅費を計上する必要が発生したため。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の理由に沿って、分析結果の解釈や考察に必要な図書の購入および他研究者との交流を目的として使用することを予定する。 また、報告書作成に必要なその他経費については、所属機関における研究費等と併用しながら進める予定である。
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