研究実績の概要 |
本研究の目的は、特別養護老人ホーム(以下, 特養)における看護職・介護職が実践している認知症高齢者の排便障害への各専門職のケア内容、専門職種間の連携・協働がつくりだすケア内容を明らかにし、特養における認知症高齢者への排便ケアモデルの全体像を考案することである。 平成30年度は、これまでの特養に勤務する看護職・介護職へのインタビュー調査の分析結果から、特養における認知症高齢者への排便ケアモデル案を考案した。 研究参加者は全体で看護職11名、介護職12名であった。看護職は全て女性、平均年齢47.6±2.8、看護職経験年数24.7±2.6、特養経験年数8.2±1.2であった。介護職は男性4名、女性8名、平均年齢34.1±2.3、介護職経験年数11.2±1.6、特養経験年数8.7±0.9であった。看護職による認知症高齢者への排便ケア内容は「排便障害のリスクを包括的にアセスメントする」など7つのカテゴリーが抽出され、介護職の排便ケア内容は「排便機能を発揮できるようにトイレ介助する」など8つのカテゴリーが抽出された。また、看護・介護職間の連携・協働がつくりだすケア内容は「排便の異常を介護職が早期発見し、看護職の対応につなげる」など5つのカテゴリーが抽出された。これらの結果に基づき特養における認知症高齢者への排便ケアモデル案を作成した。ケアモデル案からは、認知症高齢者の尊厳を保持する排便ケア実践を保証することにつながり、排便機能を発揮して気持ちよく排便することができるケアの手がかりになりうるものと示唆が得られた。
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