認知症高齢者の行動・心理症状改善に向け、漸進的筋弛緩法を、認知症対応型グループホーム、小規模多機能型居宅介護において実践し、行動・心理症状改善への効果についてアクションリサーチの手法を用いて検討した。漸進的筋弛緩法1ヶ月、2ヶ月後では施設職員へのインタビューから日々の実施で感じる困難、実施を継続することへの心配や職員間での協力の難しさ、といった課題があったが、実施後3ヶ月後には課題に対応し、職員が自ら工夫し、高齢者の良い変化を感じながら実施でき、6ヶ月後、1年後には、高齢者間、高齢者と職員、職員間でのコミュニケーションもより円滑にはかれ、実施回数を増やす等、日々の漸進的筋弛緩法の実施、定着につながった。また、職員が利用者の反応に合わせ、利用者個々に呼びかけを行う等、実施方法を日々工夫していることもわかった。1年間継続する中で、実施時の利用者の反応が見られ、表情が明るくなる等の変化、利用者同士の関わりの機会も増加してきたことがわかった。これには、職員の利用者個々への働きかけや、集団で実施する中で、利用者同士のコミュニケーションの機会が増えたためと考えられる。漸進的筋弛緩法を職員が工夫して実施し、利用者にとって良いものだと実感でき、自信を持って行えるようになった。また、楽しく実施でき、生き生きとしてきたという変化があった。実施を通して、職員が利用者の安定を実感し、工夫しながら取り組めたことから現場に浸透していったと考える。
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