当初、「トゥレット症候群のチック症状に対する当事者独自の対処行動の実際」というテーマの元、当事者にインタビューを実施し、その内容を現象学的看護研究方法を用いて分析するという計画を立てていたが、申請後に重要な先行研究が発表された。先行研究は本研究と目的がほぼ同じであり、また、得られた結果も本研究の期待する結果に近いと判断したため、本研究の研究テーマを大幅に変更する必要性に迫られた。 しかし、研究者の能力不足と研究時間の確保が難しかったこともあり、先行研究をふまえて新たな研究を計画し、実施するに至らなかった。新規の研究計画を立ち上げることができなかった理由としては、新設学部に赴任したために予想以上に業務が多かったこと、また、連携研究者を務めている科研におけるエフォートがあがってしまい、本研究に充てる時間が限られてしまったことが挙げられる。さらに研究者の個人的な問題(熊本地震にて実家が被災)ことも影響が大きかった。 一方で”managing Tourette Syndrome”のセラピストガイドの翻訳に携わることができたため、当初、研究協力を依頼していたトゥレット協会会員の方達には、それ相応の貢献ができたのでないかと考える。今後も可能な限り、看護学研究者として当事者や家族に対する支援をしていくつもりである。 なお、研究費に関しては研究が実施できなかったため、その多くを返還している。
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