研究課題/領域番号 |
15K20793
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
江口 実希 四国大学, 看護学部, 助教 (40631718)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 認知の偏り / 反すう / 認知行動療法 / 看護師 / 認知 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、「反すう」から離れることに着目した新しい認知行動療法プログラムを開発し、プログラムの効果を検討することである。「反すう」とは過去の失敗や心配事、自分の欠点などをくり返し考え続けることであり、抑うつ気分の原因の一つである。看護師は事務職よりも高いストレスや精神健康リスクを示し、高い離職率が問題視されている。離職の理由の半数以上はメンタルヘルスの問題であることから、医療サービスの質の向上には看護師のメンタルヘルス向上が喫緊の課題であると考える。 平成27年度はプログラム開発に先立ち、抑うつの原因となる「反すう」がどのように抑うつ気分に影響を与えるかを検討した。 看護師の精神健康度は「認知」に影響を受けることが明らかにされた。さらに、看護師のどのような認知がどの程度、精神健康度に影響しているかについて、心理尺度の信頼性の検討とともに検討し、特に「認知の偏り」が看護師の精神健康度に影響を与えること、「認知の偏り」は経験年数によって変化することが明らかになった。つまり認知に直接働きかける技法を有する認知行動療法を用いて看護師の「認知の偏り」を和らげることが可能であろうことが推察された。 次に、総合病院に勤務する看護師256名を対象に自記式質問紙調査を行い、看護師の精神健康度と「認知の偏り」、「反すう」について検討した。看護師の嫌なことをくり返し考える傾向(反すう傾向)は、「よく考える嫌なこと」についての自由記載をカテゴリー化した結果、「仕事のこと」「家庭のこと」の2カテゴリーに大別出来た。「看護師の認知の偏り、自動思考、反すう、抑うつ気分の因果モデル」を措定し共分散構造分析を用いてモデルのデータへの適合度について現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
措定した「看護師の認知の偏り、自動思考、反すう、抑うつ気分の因果モデル」の検討ならびに、分析結果から反すうに着目した認知行動療法プログラムの作成中であり、まだプログラムの完成にはいたっていない。以上より「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
速やかに「看護師の認知の偏り、自動思考、反すう、抑うつ気分の因果モデル」の検討、プログラム開発を行うとともに、プログラム実施時期を初夏~初秋に変更し、実施協力先との調整に取り組む。
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