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2015 年度 実施状況報告書

長期療養環境における認知症の人のQOL

研究課題

研究課題/領域番号 15K20796
研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

中西 三春  公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主席研究員 (40502315)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード認知症ケア / 緩和ケア / 地域看護 / 精神看護
研究実績の概要

厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」の調査票情報から、介護保険施設の退所者や訪問看護ステーション利用者の個票と施設票を取得し、認知症の人の長期療養環境を提供している施設・事業所の機関属性を把握した。介護老人保健施設の退所者の分析では、認知症を主傷病とする者は医療機関や施設等への退所または死亡退所の割合が高かった。医療法人、定員数が大きい施設、リハ職員(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)の配置が低い施設、高齢者人口あたり介護老人福祉施設の定員数が少ない二次医療圏にある施設では医療機関へ退所する割合が高かった。
加えて訪問看護ステーション・介護老人福祉施設・介護療養型医療施設のターミナルケア利用者の分析を行った。訪問看護利用者の多くが悪性新生物を主傷病としており、認知症が主傷病の者は少なかった。認知症を主傷病とする者は疼痛管理の実施割合が低かった。
また諸外国の優良実践(best practice)として、米国Arizona州Phoenix市のBeatitudes CampusおよびHospice of Valleyで開発された「Comfort Matters」を現地調査により把握した。同プログラムを導入したAlzheimer’s Association New York City Chapterと協働事業所Isabella Geriatrics Center, Center for the Advancement of Palliative Care, Cobble Hill Health Centerでの運用を調査した。いずれも認知症の人の行動心理症状をニーズが満たされていないことを伝える「コミュニケーション」と捉えていた。認知症ケアの基本は本人の快適さを最大化することにあり、行動心理症状の背景にしばしば疼痛の問題があることが着目されていた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」の調査票情報の二次解析が順調に進み、また諸外国での認知症ケアの優良実践の例を現地調査により把握したことで、平成28年度に実施する予定であった「認知症ケア」や「QOL」の概念整理を先行して行えた。

今後の研究の推進方策

平成29年度に実施予定であった質問紙調査を平成28年度に実施する。調査対象は、介護サービス施設・事業所と医療機関の中から、平成27年度の分析をふまえて一定の条件で抽出した機関とする。調査結果から質の高い認知症ケアを提供していると思われる機関等を抽出する。また諸外国の現地調査の実施を継続して、公的な保健医療サービスや社会サービスの体制の違いをふまえ、日本における認知症ケアの改善点を明らかにする。
平成29年度は、平成28年度の質問紙調査から抽出した機関を対象に、調査員による訪問調査を実施する。継続した生活支援が行われている事例とその支援体制について情報収集を行い、実践モデルを整理する。また平成28年度の諸外国の現地調査の結果もふまえて、整理した実践モデルに基づいた認知症ケアのプログラム案を作成および試行する。
平成30年度は、認知症ケアのプログラム案を平成29年度の試行結果をもとに評価し、改訂を行う。認知症の人の在宅生活を支援するケアモデルのあり方について、研究の全過程を通じて得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画よりも進展があったため、平成29年度に実施予定であった質問紙調査を平成28年度の前半に実施する。あわせて平成29年度及び30年度中に実施を予定していた訪問調査を平成29年度中に行う。本研究の目的である認知症ケアの実践モデルの試案について、早期にプログラムの問題点を洗い出し、平成30年度にこの問題点を十分に対処できる時間を設ける。このことにより、認知症ケアプログラムの検証を深められると考える。そのため質問紙調査に係る費用を翌年度分として請求した。

次年度使用額の使用計画

介護サービス施設・事業所と医療機関の中から、平成27年度の分析をふまえて一定の条件で抽出した機関を対象に、質問紙調査を実施する。平成27年度の結果をふまえて作成した機関票、利用者票をセットにした調査票一式を郵送にて対象機関に配布し、郵送にて回収する。調査結果から質の高い認知症ケアを提供していると思われる機関等を抽出する。また諸外国の現地調査の実施を継続して、公的な保健医療サービスや社会サービスの体制の違いをふまえ、日本における認知症ケアの改善点を明らかにする。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Discharge destination of dementia patients who undergo intermediate care at a facility.2016

    • 著者名/発表者名
      Miharu Nakanishi, Yumi Shindo, Junko Niimura
    • 雑誌名

      Journal of the American Medical Directors Association

      巻: 17(1) ページ: 92.e1-92.e7

    • DOI

      10.1016/j.jamda.2015.10.018

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Japanese care location and medical procedures for people with dementia in the last month of life.2016

    • 著者名/発表者名
      Miharu Nakanishi, Taeko Nakashima, Yumi Shindo, Junko Niimura, Atsushi Nishida
    • 雑誌名

      Journal of Alzheimer's Disease

      巻: 51(3) ページ: 747-755

    • DOI

      10.3233/JAD-150898

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Factors associated with end-of-life care by home-visit nursing-care providers in Japan2016

    • 著者名/発表者名
      Miharu Nakanishi, Junko Niimura, Atsushi Nishida
    • 雑誌名

      Geriatrics & Gerontology International

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      in press

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 訪問看護ステーションの精神疾患を主傷病とした利用者に対する看護提供の関連要因.2015

    • 著者名/発表者名
      中西三春, 新村順子, 西田淳志
    • 学会等名
      第31回日本精神衛生学会大会
    • 発表場所
      産業医科大学 ラマツィーニホール(福岡県・北九州市)
    • 年月日
      2015-12-06 – 2015-12-06

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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