研究実績の概要 |
2016年4月1日の時点で東京都の介護サービス情報公表システムに登録されている居宅介護支援事業所・小規模多機能型居宅介護支援・認知症対応型共同生活介護、および精神科入院病棟の利用者を対象とした質問紙調査を実施した。居宅介護支援専門員が4人以下の居宅介護支援事業所、開設から1年未満の事業所は対象から除外した。各事業所で看護・介護職員を4名選んで質問紙票を渡し、各職員は直近で関わりをもった認知症を有する利用者4名について回答した。利用者のQOL評価にはQLDJ尺度(ADRQL尺度日本語版)を用いた。 調査票を配布した1,414事業所(607居宅介護支援事業所, 158小規模多機能型居宅介護支援, 542認知症対応型共同生活介護, 107精神科入院病棟)のうち、346事業所から職員2,239名、利用者4,143名分の記入済み調査票の返送があった。データ解析の結果、利用者の年齢の高さ、女性であること、ADL障害や認知機能障害が低いこと、および抗精神病薬を使用していないことがQLDJ得点の高さと関連していた。 また質問紙調査において、事業所の認知症ケアに関する体制や外部支援の有無、および利用者について回答する職員自身の認知症ケアに対する認識をあわせて調査した。認知症ケアに対する認識の評価にはqPAD尺度日本語版を用いた。 qPAD尺度で測定した認知症緩和ケアの知識と態度得点ともに、認知症対応型共同生活介護の職員で居宅介護支援事業所より高かった。また職員のqPAD尺度の得点で利用者を三群に分け、QLDJ尺度の得点を比較したところ、知識でも態度でも得点の高い群では中間の群や低い群と比べて、利用者のQLDJ尺度得点は高かった。 以上の結果をもとに認知症ケアの実践モデルを整理した。
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