研究実績の概要 |
厚生労働省より人口動態調査「死亡票」の調査票情報の提供を受け、原死因が認知症または老衰の者を抽出して二次解析を行った。1996年10月-2016年9月の死亡者960,423名のうち、医療機関で死亡したのは434,795名(45.3%)であった。在宅死が238,429名(24.8%)、老人ホームが220,652名(23.0%)、介護老人保健施設が66,547名(6.9%)いた。介護保険制度の開始(2000年4月)、地域密着型サービス・地域包括支援センターの導入(2006年4月)、後期高齢者医療制度・在宅療養支援診療所の導入(2008年4月)、およびオレンジプラン(2013年4月)のいずれも在宅死亡の増加に対する寄与はみられなかった。これらの制度を導入する前と比べ、導入した後の死亡者はより医療機関や介護老人保健施設で死亡する割合が高かった。 これまでの研究成果をもとに認知症ケアの実践モデルを整理して、看護・介護職員を対象とした認知症ケア研修プログラムを開発した。参加同意を得られた居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション、認知症対応型共同生活介護の看護・介護職員を対象として、2日間に渡る研修プログラムを試行した。介護従事者86名のケア提供を受けている利用者219名について、研修プログラム実施直後および6か月後における痛み、抗精神病薬、行動心理症状の情報を収集した。プログラム実施後に痛み(t(218) = 2.63, p = .009)と行動心理症状は有意に減少した( t(218) = 8.19, p < 0.001)。抗精神病薬の使用は変化がなかった(χ2(1) = 2.78, p = .180)。
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