研究課題/領域番号 |
15K20797
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
本田 光 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (80581967)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 子育て支援 / コミュニティ / ソーシャルサポート / ソーシャルコンピテンス / 尺度開発 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、尺度開発へ向けた予備調査として、下記の2つの調査を実施した。 1.作成した尺度原案に対する重要性の検討:保健師への調査 対象抽出は、全国を9ブロックに分け、市町村の人口規模別に母集団と同じ割合で148市町村を層化系統抽出し、郵送法により調査を実施した。尺度原案は、①母親の地域との交流の現状:9項目、②つながりに対する好意的な気持ち:9項目、③つながりたいと思う母親の動機:6項目、④つながるための対人関係構築スキル:12項目、⑤自身の子育てを通した地域づくりへの志向性:10項目から構成した。これらの項目について、「とても重要」~「重要でない」の4件法によって、保健師の意見を尋ねた。対象者400名のうち、回収数196件(49%)、うち有効回答179件(44.8%)であった。各変数について、6割以上の者がとても重要または重要と回答した項目は、①交流の現状:9項目中5項目、②つながりに対する気持ち:9項目中7項目、③母親の動機:6項目中3項目、④対人関係構築スキル:12項目中1項目、⑤地域づくりへの志向性:10項目中7項目であった。 2.尺度原案の理論的検証:3歳までの子どもを持つ母親への調査 対象は、全国8市町村における3歳までの子どもを持つ母親1,182名である。調査は平成28年8月~10月に実施した。回収は、779件(65.9%)うち有効726件(61.4%)であった。母親の年齢は30~34歳269人(37.1%)が最も多く、子どもの数1人307人(42.3%)、子育て経験1年目91人(12.5%)であった。経済的な格差が母親の「地域とのつながり」においても影響していることが示唆された。また、子育てに温かい地域に暮らすことは、母親の「地域とのつながり」を促進することが示唆され、地域づくりの重要性が示された。現在、尺度開発に向けてさらに分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度末までに予定していた調査は、すべて完了している。
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今後の研究の推進方策 |
1.平成28年度調査の解析と尺度開発:平成29年度は、前年度に実施した調査の詳細を分析し、関連要因なども明らかにしながら統計解析を用いて、尺度開発を行う。 2.学会発表・論文投稿:平成28年度調査結果の解析の進捗に応じて、学会にて研究成果を公表する。また、平成28年度調査の一部を学術雑誌へ投稿する。 3.尺度原案(英文版)の作成:国際学術雑誌への投稿と国際的な研究活動への発展へ向けて、尺度原案の英文版を作成する。また、国際学会等で発表し、日本の文化社会的背景に基づいた概念と国際的に共有できる普遍的な概念とを区別して、今後の尺度開発研究の参考とする。
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