研究実績の概要 |
平成30年度は、尺度開発に向けて本調査を実施した。 本調査では、予備調査で得たデータを用いた各種の分析を経て、当初に作成した42項目から27項目を厳選し、これを尺度原案として調査を実施した。また、尺度反応性の検証のためWHO-5尺度(精神的健康の測定)及びUCLA孤独感尺度を外的基準として採用した。その他、母親の個人属性を問う項目を含めて調査票を作成した。調査票は、平成30年12月中旬に配布し、平成31年2月末日までを回収期日とした。 調査対象者は、札幌市内10区から5区を無作為抽出し、さらに住民基本台帳より無作為抽出にて1,000人を抽出した。その際、兄弟がいる場合のその両方の子どもを抽出したために対象(母親)としては重複してしまったケースが3件あり、それを除いた997件に調査票を配布した。その後、あて先不明で8通が返送され、その他1通は保護者が祖母であると申し出て返却されたケースがあったため、実質の配布数は988件となった。回収数は522件で回収率は52.8%であった。 結果は、例えば「子どもを介して、地域の人とあいさつ程度の交流がある」と回答した母親は450人(85.7%)、「子どもを介して、地域の人と親しく会話する機会がある」297人(56.6%)、「子育ての喜びや悩みを分かち合える親族以外の人がいる」419人(79.8%)という実態が明らかになった。これらの結果については、札幌市に暮す子育て世代における「地域とのつながりの実態」としても大変興味深い結果であり、今後の発表の機会において公表していきたいと考えている。 さらに項目分析や探索的因子分析及び確認的因子分析を実施し、その結果の検討を重ねた結果、「乳幼児をもつ母親の地域との関係性構築支援のための尺度」は、5因子15項目から構成する尺度として開発された。この成果は、学術誌において公表する予定である。
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