本研究の目的は、地域における子育て支援を推進するために、人口中規模の一市町村において、保健推進員を中心とした子育て力のコミュニティエンパワメントを促すための参加行動型研究を実施し、その評価として保健推進員のセルフ、ピアエンパワメント及び、その地域のコミュニティエンパワメントにおける変化とそれに関連した促進要因、抑制要因を明らかにすることである。 第一段階:フィールドにおいてエンパワメントの現象を観察するための前提として、保健推進員活動における保健推進員のエンパワメントに至るまでの経験とその影響要因を明らかにすることを目的に、システマティックレビューの手法を用いて、既存の一次文献の記述をデータとし、質的統合を行った。 第二段階:県内外の保健推進員の活動調査として、子育て支援活動の好事例である5市町村で活動する保健推進員と、ともに活動する保健師へのインタビュー調査を行った。 平成30年度後半から令和元年度は産前産後休暇および育児休業により、研究を中断した。 第三段階:最終年度である令和2年度には、人口中規模の一市町村において参加行動型研究を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症に伴う大学業務や、対象自治体との研究調整に困難が生じた。そのため、一次文献の質的統合および活動調査で得られたデータの分析から、保健推進員のエンパワメントを促す協働モデルおよび、実践に用いるためのガイドを作成し、学会発表および論文投稿(投稿中)を行った。モデル・ガイドを作成したことにより、保健師と保健推進員の協働活動の実践の手引きとなり、それに伴う保健推進員のエンパワメントのアセスメントや評価に活用できると考える。
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