研究課題/領域番号 |
15K20799
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
津野 陽子 東京大学, 政策ビジョン研究センター, 特任助教 (50584009)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | プレゼンティーイズム / 労働生産性 / 産業保健 / 健康経営 |
研究実績の概要 |
昨年までに健診・問診データ、医療費データ、人事・属性データ、生産性指標のアンケートデータを統合したデータを3組織を対象にデータ構築していた。今年度は、さらに1組織の統合データを構築し、4組織を対象にデータ分析の深堀を行った。そのうち2組織については、2年間目のデータを受領することができ、2年間のコホートデータを構築した。プレゼンティーイズムと健康リスク、医療受診状況との関連性の分析をクロスセクショナルなデータによる分析から、プレゼンティーイズムと関連のある因子を検討した。コホートデータを用い、1年後のプレゼンティーイズムに影響を及ぼす健康リスクに関する分析を行った。プレゼンティーイズム、健康リスク、医療費等の因果関係を検証するため、より長期のコホートデータの作成と分析枠組みの検討を行っている。 日本におけるWHO-HPQによるプレゼンティーイズム測定の妥当性については、測定した2組織のデータを分析した結果により論文執筆し海外誌に原著論文として投稿し、現在査読中である。プレゼンティーイズムの測定は、WHO-HPQのスケールにより3組織は測定しており、もう1組織は研究協力者らと作成した「東大プレゼンティーイズム1項目版」によって測定した。プレゼンティーイズムの測定スケールとして1項目版が妥当であるか検証が必要なため、WEB調査により同じ対象に両方のスケールにてプレゼンティーイズムのアンケート調査を実施し、検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通り、4組織を対象とした大規模な分析データを構築することができ、さらにそのうち2組織を対象としてコホートデータの構築できたことで、当初計画より、検証できる幅は広がっている。プレゼンティーイズムの測定において、WHO-HPQスケールの日本における有用性を検証することができ論文執筆が出来たため。 一方で、中小企業におけるプレゼンティーイズムの測定を検討するため、今年度から東京商工会議所に協力依頼をしていく予定であったが現時点ではペンディングしている。2016年度より経済産業省の健康経営優良法人認定の制度が始まったことにより、プレゼンティーイズムの測定を実施することを主目的とせず、中小企業における生産性指標測定について検討することを目的とし、プレゼンティーイズムを生産性指標の1つとして測定可能性も含め検討していくことを考えているため。
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今後の研究の推進方策 |
コホートデータを用いた、プレゼンティーイズム、健康リスク、医療費等の因果関係を検証を行う。4組織を対象としているため、業種の異なる組織間比較から、プレゼンティーイズムの維持・改善への介入方策の在り方を検討する。中小企業におけるプレゼンティーイズムを含む生産性指標の測定可能性および、組織体制と生産性と健康の関連を検証するための枠組みを作成する。 最終年度のため、学会発表、論文執筆を精力的に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
4組織のデータ収集に関し、当初は研究者側がアンケート調査を企画・実施するため費用負担予定であったが、各組織との共同研究により各組織内で実施してもらいことができ、データを受領する形となりアンケート調査・データ収集費用がかからなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
大規模なデータとなっていること、コホートデータとしてデータ管理・蓄積が必要となったため、安全なデータ管理体制の構築、および論文の投稿費用に使用予定である。
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