本研究は、高齢者の社会的孤立の防止を目指して、社会的に孤立した高齢者への効果的な支援を検討する為に、高齢者の状態や支援の必要性について、身体的、精神的、社会的側面に着目し、看護職によるアウトリーチ活動のためのアセスメント指標を開発することを目的とした。 地域包括支援センターに勤務する看護職4名を対象とした面接調査により得られたデータについて、目的に沿って分析した。本研究では、社会的に孤立した高齢者への支援に焦点を当てているが、看護職が把握できている(看護職と繋がっている)高齢者への支援の内容を調査の対象としているため、完全に社会から孤立している状態の高齢者はほとんどいなかった。しかしながら、高齢者を見守る地域の組織(自治体や協力員、近隣住民)からの報告や直接的な看護職の関わりから、生活の範囲や他者との関係、健康状態などが気になる高齢者として把握し、様子を伺うようにしていた。 看護職は高齢者の体調や生活、人間関係に関する自己管理能力について、その変化をアセスメントし支援につなげていた。対象者本人の気質や性格による状況と「今までとは異なる変化」から生じる状況を見極め、支援の必要性を判断していた。身体的側面では、活気やふらつき、受診時の検査結果、体調、表情、精神的側面では、理解する力、会話の頻度や長さ、支援を受け入れる姿勢、服の着方や選び方、社会的側面では、生活する範囲の縮小、生活リズムの変化、他者との交流の範囲や交流相手の好み方に焦点を当てアセスメントしていることが明らかとなった。以上のことから、これらの視点を踏まえたアセスメントの必要性が示唆された。
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